メソポタミア以外の古代都市に光を当てる
古代都市の形成に関する一般的な理解は、主にメソポタミア、特にティグリス川とユーフラテス川流域に基づいています。しかし、最近の調査によって、トルコ中部のカイセリ県にあるキュルテペ遺跡で発見された巨大建築物が、都市誕生の新しいモデルを提供する可能性が示唆されています。
キュルテペ遺跡の調査経緯
日本の考古学者である紺谷亮一氏と山口雄治氏は、2008年からトルコのカイセリ県において、130以上の遺跡を調査してきました。その結果、メソポタミアの都市形成モデルとは異なる、鉱物資源の交易を通じた都市社会の成立の仮説が提起されました。この仮説は、西アジア全体における都市誕生の多様性を探求するための重要な一歩となるものです。
巨大建築遺跡の発見
2021年に行われた発掘調査では、紀元前3300年頃の大型建築址が確認されました。この建物は直径100メートルを超える円形のプランを持ち、ジグザグ形の日干しレンガ壁で構成されています。これはトルコ中央部での最古の事例となる可能性があります。さらに、この建物からは儀礼的な用途が示唆される埋納土器が出土していることも重要です。
都市社会の新たなモデル
これらの発見は、都市誕生のプロセスが単純ではなく、多様な要因が絡んでいることを示しています。特に、メソポタミアにおける都市形成の理解に新たな視点をもたらすものであり、中央アナトリアにおける異なる都市社会が存在した可能性を明らかにしています。これは、従来の考古学的モデルを刷新する大きなインパクトを持つ発見です。
今後の研究の重要性
この研究は、都市化のプロセスが一様ではなく、多くの要因が絡み合っていることを教えています。キュルテペ遺跡の巨大建築物が本当にそのような構造を持つのかどうかを評価するには、引き続き研究資金と発掘調査の継続が必要です。考古学の厳しさと畏怖の世界に挑む姿勢が、今後の成果を期待させます。
まとめ
この研究成果によって、古代都市の成立に関する理解がさらに深まることが期待されます。古代社会の多様性を探る旅は、まだ始まったばかりです。この挑戦がどのような新しい情報をもたらすのか、今後に注目が集まります。