日本整形外科学会(JOA)と日本再生医療学会(JSRM)は2025年1月16日、整形外科と再生医療分野における協力を強化するための包括的連携協定に関する覚書(MOU)を締結しました。この覚書は、整形外科における再生医療の研究開発を推進し、安全性と有効性が保証された新しい医療技術の社会的普及を促進することを目的としています。
協力の内容
この協定によって、両学会は以下の分野での協力を深めることを確認しました。
- - 共同研究の実施とその実用化・産業化を目指したパートナーシップの形成
- - 技術や政策、法的課題に関する情報の共有および合同学術会議の開催
- - 広報活動の連携
- - その他、合意される分野での協力強化
特に、変形性膝関節症の治療において注目されている多血小板血漿(PRP)療法について、JOAとJSRMはその臨床的有効性を科学的に評価するための多施設共同臨床研究を計画しています。この研究では、複数の医療機関からヒアルロン酸投与群のデータを収集し、ヒストリカルコントロールの基盤を確立することを目指します。また、JSRMが運用する再生医療等データ登録システムであるREAPを活用して、データの信頼性を確保する方針です。
代表者のコメント
JOAの理事長、中島康晴は、「再生医療の適切な使用は整形外科の発展には避けて通れない重要な課題です。この連携を通じてエビデンスの確立と新規治療法の開発が進むことを期待しています」と述べています。
一方、JSRMの理事長、岡野栄之は、「整形外科学の分野では、特に変形性膝関節症に対する細胞治療の有効性に関して国際的に合意形成が必要です。この協働により、国内外において大きなインパクトを与えることができると信じています」と強調しました。
さらに、JSRMの事務局長、眞野恭輔は、「筋骨格系疾患による経済的損失は非常に深刻であり、再生医療による改善が求められてています。我々の協力関係が問題解決の一助になることを期待しています」と発言しています。
学会の役割
日本整形外科学会は1926年に設立され、整形外科と運動器医療の研究を通じてその進展を促進してきました。現在、約26,000人の会員が所属し、幅広い活動を展開しています。
日本再生医療学会は、6,000人以上の会員を持つ国内最大の再生医療に関する学会で、自然科学や人文社会科学の研究者が参加し、さまざまな専門家が集うプラットフォームです。
JOAとJSRMの今回の連携は、両学会の持つ専門知識とネットワークを生かし、再生医療の未来を切り開く重要な一歩となるでしょう。今後の取り組みに期待が高まります。