2024年テレワーク調査の背景
2020年に新型コロナウイルスの影響が広がる中、多くの企業がテレワークを導入しました。その後もこの取り組みは続き、2024年には企業の働き方改革の一環として広く定着しています。それに伴い、エフアンドエムネット株式会社が管理部門向けのビジネスメディア『労務SEARCH』の協力で、10代以上の男女300名を対象にテレワークに関するアンケートを実施しました。
この調査では、テレワークの実施状況や従業員が感じるメリット・デメリットを詳しく分析し、出社勤務との比較も行いました。まずは、テレワークに関する主な結果をまとめてご紹介します。
主な調査結果
テレワークの実施頻度
アンケートによると、テレワークの実施頻度の最も高い回答は「月に数回」で31.3%でした。次いで「週に2日」が18.3%で、全体として週に1~2回程度テレワークを行っているところが多いことがわかりました。特に規模別企業の分析では、従業員数が201名~300名の企業では「毎日」が最も多く、30名以下の企業でも「月に数回」が最多という結果となりました。これは、企業規模による影響があまり見られないことを示しています。
最大のメリットとデメリット
テレワークの最大のメリットとしては「通勤時間や移動時間の削減」が65.0%を占め、その後は「自由な時間で働ける(12.7%)」や「仕事に集中しやすい(8.7%)」と続きました。このように、多くの人々が通勤の煩わしさから解放されることに大きな価値を見出していることが明らかになりました。
しかし、デメリットも無視できません。最も多かった回答は「運動不足になる(36.0%)」で、次に「オフとオンの切り替えが難しい(29.0%)」と続き、テレワーク特有の課題が浮き彫りになりました。
ワークライフバランスの改善
テレワークによって「ワークライフバランスが良くなった」と感じる人は72.3%、さらには家族やプライベートの時間が「増えた」と回答した人も73.0%に達しました。この結果は、テレワークによる柔軟な働き方が実際に効果を発揮していることを示しています。
効率性の考察
テレワークが効率的だと思う人は46.0%で、これは「集中しやすいから(45.7%)」という理由が最も多かったです。一方で「出社勤務の方が効率が良い」との回答も24.3%寄せられ、理由として「コミュニケーション不足(24.7%)」や「オンオフの切り替えが難しい(24.7%)」が挙げられました。
コミュニケーション状況
テレワーク中のコミュニケーション状況については、63.3%の方が「出社時と変わらなくコミュニケーションが取れている」と答えておりますが、やや不足感を感じている方も多いことが明らかになりました。適切なコミュニケーションツールの活用が今後の重要な課題となるでしょう。
支援体制の問題点
テレワーク手当が「ない」と回答した企業が79.0%も存在し、テレワーク内容に応じた支援があまり展開されていない現状が浮き彫りになりました。これにより、自宅環境の整備や設備の支援がなければ、テレワークの実施が難しい場合も出てくるでしょう。特に、パソコンやモニターの貸与は開発されている支援の中でも一般的であることが見受けられました。
書類の電子化が重要
最後に、テレワークの利用を拡大するために最も必要なのは「書類の電子化(ペーパーレス化)」であり、この結果はテレワークを阻害する要因を示しています。
まとめ
全体的に、テレワークは仕事の効率やワークライフバランスに大きなポジティブ影響を及ぼしている一方で、多くの課題も抱えていることが明らかになりました。企業はこのアンケート結果を踏まえて、従業員の意見を反映したテレワーク環境の整備を積極的に進めていく必要があると考えます。今後の取り組みが、企業としての競争力や従業員の満足度向上につながることを期待しています。