仮想空間でのBCP訓練を実現するChainable
東京海上ディーアール株式会社(TdR)は、クラウドサービス「Chainable(チェイナブル)」に新たに訓練モード機能を追加しました。この機能により、たとえば南海トラフの巨大地震や東日本の台風、西日本の豪雨といった過去の災害シナリオを仮想空間上で再現し、企業が災害時の初動対応を訓練することが可能です。特に、拠点間の連携や被災情報の速やかな収集が求められる場面で、このサービスは大いに役立ちます。
背景
災害に対する企業の備えが不可欠となっている今、2024年8月に発生した日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震は、その重要性をさらに浮き彫りにしました。この地震では、南海トラフ地震臨時情報が発令されたのが日本で初めてのケースとなり、企業は被害情報の収集とBCP(事業継続計画)の発動において迅速な判断が求められています。しかし、実際のところ、過去の広域災害では多くの企業が情報収集に不十分な時間を要し、迅速な対応が取れなかった事例が散見されました。
訓練モードの機能
新たに追加された「訓練モード」は、Chainableのプラットフォームを活用して特定の災害が発生した場合の初動対応を模擬することができます。国が想定する災害や過去の事例に基づいたシナリオを用意しており、企業はそれを選択して訓練に取り組むことができます。例えば、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、東日本大震災などのシナリオが用意されています。さらに、これらのシナリオに基づいて、各拠点が受けた被害を仮想的にシミュレーションし、意思決定を行うことも可能です。
振り返りとコミュニケーション
訓練終了後は、各拠点との振り返りがChainableのタスク機能を通じてできます。これにより、参加企業は自社の対応を見直し、今後の改善点を見いだすことができるのです。また、サポートを希望する企業には影響報告ルールの整備や、最適な運用方法の提案も行われ、より良いトレーニング環境の構築が目指されます。
Chainableの特徴
Chainableは、リスクコミュニケーションプラットフォームとして他にも多くの機能を提供しています。登録した生産や物流、販売拠点において災害が発生した際にはアラートが届き、影響が可視化されます。また、平時・有事において、担当者への指示を一括で行えるタスク機能や、情報収集のためのアンケート機能を備えており、双方向のコミュニケーションを実現するチャット機能も搭載されています。これらはすべて、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスにも対応しています。
まとめ
東京海上ディーアールが提供するChainableは、今後の災害対策において必要不可欠なツールと考えられます。訓練モードを通じて、企業は平時から有事に備えた体制の構築を進めることができるため、BCP対策の強化に大いに役立つでしょう。災害が頻発する現代において、企業の危機管理意識の高まりが期待されます。