酸化チタン光触媒による空間殺菌ががん患者を守る新たな手段に

酸化チタン光触媒による空間殺菌の新たな可能性

最近、日本大学医学部内科学とカルテック株式会社が行った共同研究が、がん患者における発熱性好中球減少症（FN）の発生率を低下させる新しい空間殺菌技術を明らかにしました。この技術は、酸化チタン（TiO₂）光触媒を活用し、一般的な細菌やウイルス、真菌などの感染症を予防する手助けとなることが期待されています。

FNとは？

発熱性好中球減少症は、好中球の数が500/μL未満の状態で、腋窩温が37.5℃以上となる場合を指します。この症状は、特に抗がん剤治療を受けている患者において頻繁に見られ、致死率が20％を超えることもあります。したがって、医療現場ではFNの予防が喫緊の課題となっています。

研究内容と成果

本研究では、院内感染の発生を抑制するために、KL-W01型光触媒装置を病室に1台設置し、感染発生率や浮遊微生物の数を観察しました。結果として、好中球が500/μL未満の患者において、院内感染の発生率が有意に減少しました。

さらに、本研究ではFNの原因微生物も調査され、具体的にはブドウ球菌、大腸菌、カンジダ類、アスペルギルスなどが特定されました。これらの菌が病室内で浮遊しているのが確認され、その減少がFN発症のリスク低下に寄与したと考えられています。