世界の投資家、日本企業の気候変動対策に懸念!メガバンクや電力会社が株主提案に揺れる
2024年4月、国際的な環境NGOが、日本の金融・電力業界の4社(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、中部電力)に対して、気候変動対策に関する株主提案を行いました。
これらの企業は、気候変動リスクへの対応において、世界の投資家から厳しい視線を浴びています。特に、メガバンク3社は、化石燃料セクターに対する資金提供を継続していること、中部電力は、石炭火力発電への依存度が高いことが問題視されています。
株主提案は、企業が気候関連のリスクと機会を適切に管理・監督するための能力や、株主が評価するために必要な情報開示を求める内容でした。
メガバンク3社に対しては、さらに、気候変動への公約とリスク管理戦略に基づき、化石燃料セクター顧客の移行計画とパリ協定1.5℃目標との整合性を評価するプロセスや、顧客が適切な移行計画を作成しなかった場合の対応措置を明らかにするよう求める提案が行われました。
これらの株主提案は、6月末に開催された各社の株主総会で審議されました。その結果、メガバンク3社への提案は、議決権行使助言会社のISSから賛同を得て、賛成率は20%を超えました。一方、中部電力に対する提案は賛成率23.3%と、メガバンクに比べると低くなりましたが、それでも4分の1に迫る賛成票を獲得したことは、投資家からの強いメッセージとなっています。
投資家からの厳しい視線
環境NGOは、今回の株主提案の結果は、企業が気候変動リスクに対する対応に課題を抱えていることを示すものだと指摘しています。
特に、中部電力の取締役会が、気候変動リスクを管理するための十分な専門知識を持っているのか疑問視されており、投資家は同社の財務リスクに懸念を抱いているとされています。
また、中部電力は、2050年までに事業全体のCO2排出をネットゼロにする目標を掲げていますが、具体的な対策が明確に示されていないことも、投資家の不安材料となっています。
メガバンクは、化石燃料セクターへの資金提供の見直しを迫られるか?
メガバンク3社に対しては、世界の投資家から、気候関連のリスク管理を強化するよう求める強いシグナルが送られました。
特に、LNGなどの化石燃料拡大への支援を増額していること、実効性のある抑制方針をいまだに示していないことは、世界の中で大きく遅れを取っていると見なされ、投資家の財務リスクを管理できていないとされています。
また、メガバンクが、アジアの化石燃料使用を固定化(ロックイン)するような資金提供を行っていることも、脱炭素化を妨げる行為として批判されています。
具体的な行動を求める声
環境NGOは、今回の株主提案を受けて、各企業が気候関連のリスク管理体制を強化し、顧客企業の移行計画が1.5度目標に沿っているかどうかを評価する体制を整備する必要があると主張しています。
また、メガバンクは、化石燃料企業への資金提供を継続的に見直すとともに、人権デューデリジェンスの実施を強化する必要性を指摘されています。
企業の取り組みは今後どう変わるのか?
今回の株主提案は、日本の企業が、気候変動対策を強化していく上で重要な転換点となる可能性があります。
今後、企業は、投資家からの厳しい視線を意識し、気候変動リスクに対する対応をより積極的に進めていくことが求められます。その取り組みには、具体的な脱炭素化計画の策定、人材育成、情報開示の充実などが挙げられます。
今回の株主提案は、企業の行動変容を促す大きな力となる可能性を秘めています。今後、企業がどのように対応していくのか、注目が集まるところです。