スポーツ観戦がもたらす心身の健康効果
近年、スポーツ観戦がもたらす心身の健康効果についての研究が進んでいます。公益財団法人 明治安田厚生事業団が行った研究は、その先駆けとなるものです。この研究では、世界初として、スポーツ観戦の頻度とさまざまな健康状態や生活習慣との長期的な関連が検討されました。
研究の背景と目的
これまで、スポーツが健康に与える影響は多くのエビデンスによって示されていましたが、一方でスポーツ観戦に関する研究はからっきし不足していました。特に、観戦の頻度が心身にどのように作用するかを理解するためには、縦断的な研究が不可欠です。そこで、公益財団法人 明治安田厚生事業団はMYLSスタディ(R)を基に、2017~2019年度に参加した6,327人を対象にした研究を行ったのです。
調査方法と結果
調査では、参加者のスポーツ観戦の頻度、健康状態、生活習慣に関するデータを収集しました。解析の結果、現地での観戦が頻繁な人々は、メンタルヘルスや生活習慣が良好であることが判明しました。特に、現地観戦を楽しむ人は、心理的ストレスの高まりや、生活習慣病のリスクが低いことが示されました。
一方、メディアでの観戦が多い人々は、高血圧や糖尿病などのリスクが高い傾向が見受けられました。この結果からは、メディア観戦に潜む健康リスクを意識する必要があると同時に、現地観戦がメンタルヘルスを向上させることが明らかになりました。
スポーツ観戦におけるメンタルヘルスとの関連
意外にも、スポーツ観戦が生活習慣に与えるポジティブな影響が指摘されています。観戦を通じて心が動かされ、自ら身体を動かそうとする意欲が高まる可能性が示唆されています。スポーツ観戦を通じて得た爽快感やストレス解消が、メンタルヘルスの改善に寄与するというメカニズムが考えられます。
今後の展望
今後は、どのような観戦スタイルが心身の健康に対して最も効果的か、さらなる多角的な研究が進められる予定です。この研究がスポーツ観戦に対する新たな視点を提供し、より多くの人々が楽しむきっかけとなることを期待したいものです。
この研究成果は、予防医学の国際学術誌「Preventive Medicine」にて2024年10月に早期公開される予定です。スポーツ観戦が心と体に与える影響について、今後の進展に耳を傾けていきましょう!