カーボンクレジット研究
2025-03-24 11:31:11

キリンと日立、森林由来カーボン・クレジットの共同研究を開始

キリンと日立が手を組む新たな試み



近年、環境問題がますます深刻化する中、企業の温室効果ガス(GHG)削減の重要性が高まっています。その一環として、キリンホールディングスと日立製作所が2025年3月、森林由来のカーボン・クレジット創出を目指した共同研究を行う契約を締結しました。この取り組みでは、キリンの「植物大量増殖技術」と日立の「自然計測技術」を駆使し、質の高いカーボン・クレジットの創出を図ります。

背景



国連環境計画(UNEP)が発表した「Emissions Gap Report 2023」によると、2022年の世界のGHG排出量は過去最高の574億トンに達し、その削減が切実に求められています。日本国内でも森林の炭素吸収量が減少傾向にあり、その主な理由として森林の高齢化が挙げられています。したがって、今後の脱炭素社会に向けては森林の炭素固定能力を最大限に引き出すことが不可欠です。

また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の影響で、企業が自然環境に与える影響を適切に開示する動きが広がっています。こうした背景を受けて、両社は共に社会課題を解決する手段として森林由来カーボン・クレジットに注目しました。

課題



森林由来カーボン・クレジットの領域では、「ジャンク・クレジット」と呼ばれる信頼性の低いクレジットが懸念されています。現在、信頼性の高いクレジットの需要は急速に高まっており、効率的で透明性のある森林管理とクレジット創出が求められています。しかし、苗木生産事業者の高齢化が進み、苗木生産の事業者数が1,000を下回るという厳しい状況が続いています。これにより、効率的な苗木生産技術の開発が急務とされています。

共同研究の概要



キリンと日立のコラボレーションでは、キリンが持つ「植物大量増殖技術」を活用して、短期間で効率的に苗木を生産できる手法を確立します。一方で、日立は「自然計測技術」とMRVに関連するデジタル技術を通じて、炭素固定量の定量評価手法の開発や申請レポートの自動作成に取り組みます。今後は、実際のフィールドにおける炭素固定量や生物多様性評価のための実証試験を計画していきます。

今後の展望



この共同研究によって、高品質な森林由来カーボン・クレジットの創出が期待されます。さらに生物多様性の保全や森林事業者への支援、GHGの削減など、様々な社会的課題を同時に解決することを目指します。連携パートナーの発掘や実証試験の実施を進めながら、脱炭素社会の実現に寄与していく予定です。

キリングループは「キリングループ環境ビジョン2050」に基づき、気候変動課題への対応に力を入れています。日立も「日立環境イノベーション2050」を掲げ、カーボンニュートラルの達成に向け取り組んでいます。さまざまな分野での協力が、持続可能な未来につながることを期待しています。


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会社情報

会社名
キリンホールディングス株式会社
住所
東京都中野区中野4-10-2中野セントラルパークサウス
電話番号
03-6837-7000

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