令和6年3月の鉄道輸送統計:旅客は増加も、貨物は減少 - コロナ禍からの回復と課題
令和6年3月、鉄道輸送は旅客増加、貨物減少 - コロナ禍からの回復と課題
国土交通省が発表した令和6年3月分の「鉄道輸送統計月報(概要)」によると、旅客輸送量は前年同月比で増加したものの、コロナ禍前の水準には届いていない。一方、貨物輸送量は減少しており、今後の経済状況に注目が集まる。
旅客輸送:増加傾向続くも、コロナ禍前の水準には届かず
令和6年3月の旅客輸送量は、18億7670万人(前年同月比4.0%増)と、前年同月を上回った。旅客人キロでは、322億人キロ(前年同月比4.8%増)となっている。
これは、コロナ禍からの経済活動再開や旅行需要の回復が続いていることを反映していると考えられる。特に、新幹線利用は前年比で10%を超える増加を示しており、旅行需要の回復が顕著である。
しかし、2019年同月比では、旅客数量は11.2%減、旅客人キロは10.4%減と、コロナ禍前の水準にはまだ届いていない。
貨物輸送:減少傾向が続く
令和6年3月の貨物輸送量は、349万トン(前年同月比1.1%増)と微増したものの、貨物トンキロでは、17億トンキロ(前年同月比1.8%減)と減少した。
これは、世界的な経済減速やサプライチェーンの混乱の影響が続いているとみられる。特に、コンテナ輸送量は、2019年同月比で15.6%減と、大幅な減少となっている。
今後の展望
今後の鉄道輸送の動向は、国内外の経済状況や新型コロナウイルス感染症の状況に大きく左右される。
旅客輸送では、旅行需要の回復が続くと予想されるが、航空機利用との競合や燃料価格の高騰などが課題となる。
貨物輸送では、世界的な経済減速やサプライチェーンの混乱が続けば、さらなる減少が見込まれる。一方、物流の効率化や環境問題への関心の高まりから、鉄道貨物輸送の需要拡大も期待される。
国土交通省は、鉄道輸送のさらなる活性化に向け、安全性の向上や利便性の改善、環境負荷の低減などを推進していくとしている。