インクルーシブな職場づくり
2022-06-08 11:00:14
東京大学が考えるインクルーシブな職場づくりの手法とは?事例を交えた議論
インクルーシブな組織づくりを考えるために
最近、企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の重要性が広く認識されていますが、具体的にはどのように実行に移すことができるのでしょうか。2022年5月13日、東京大学バリアフリー教育開発研究センターと一般社団法人OTD普及協会が主催したカンファレンスでは、様々な視点からインクルーシブな組織づくりについての議論が展開されました。
アカデミアと企業のコラボレーション
当カンファレンスのテーマは「インクルーシブな組織を実現するために――アカデミアは企業経営に対して何をなし得るか」。第1部の特別対談には、東京大学の熊谷晋一郎准教授と星加良司教授が出席し、「真にインクルーシブな組織づくりを実現する方法とは?」というテーマで深い洞察を共有しました。両教授は、インクルーシブな組織を構築するには、心理的安全性や謙虚なリーダーシップが不可欠であると強調しました。
熊谷准教授は、新人時代は誰しもがマイノリティであることを受け入れ、D&Iを推進しつつ業績を高める方法について語り、なぜインクルーシブさが重要かを規範的および実利的観点から検討しました。また、星加教授は、インクルージョンを妨げる要因として「マジョリティ性の壁」や「管理的思考の罠」を指摘し、組織文化に目を向ける必要性を強調しました。
実践的な事例共有
第2部では、OTD研究会のメンバーやOTD認定講師が企業での実践例を紹介しました。リコーITソリューションズの矢野絵美氏は、マネジャー層に焦点を当てたD&I施策の導入事例を語り、部下育成の観点から自らの行動に変化をもたらす活動について語りました。その結果、94%の参加者が研修に満足したという驚異的な数値が示されました。
企業におけるインクルーシブな組織づくりの「現在地」を探るために、さまざまな業界での実践に関する意見交換が行われました。参加者は具体的なアクションについての質問を交え、活発なディスカッションが展開されました。
参加者からの反響
今回のカンファレンスに参加した人々からは、心理的安全性や高信頼性の組織についての理解を深められたとの声が続出しました。多様な力を活かすための組織文化の重要性について考え直す契機となったようです。特に、精神障害者への支援方法についての議論は、参加者にとっての大きな学びとなり、事後支援の重要性を再認識させました。また、過去には考えもしなかったリーダーシップの問題点についての発見もあったようです。
D&Iに向けた取り組み
OTD普及協会は、D&Iを企業文化に根付かせるための研修やワークショップを提供し、インクルーシブな職場環境の実現を目指しています。また、カンファレンスを通じてアカデミアと企業の連携を強化し、具体的な方法論や事例を持ち帰ることが重要であると認識されています。
このように、インクルーシブな組織を作るためには、実践的なアプローチと理論的な背景が必要不可欠であることが、今回のカンファレンスからも明らかになりました。参加者たちは、今後の職場環境改善において、アカデミアと実務の知見を活かしていくことが求められています。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人組織変革のためのダイバーシティ(OTD)普及協会
- 住所
- 東京都豊島区南大塚3丁目36番7号T&Tビル
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