阪大発ベンチャー、医療情報を扱う新システムを発表
AIBTRUST株式会社(本社:東京港区、代表取締役社長:森岡康一)は、医療機関向けの新たなシステム「ヘルスインタビュー」と患者向けスマートフォンアプリ「メディレコ」をリリースしました。
ヘルスインタビューの概要
「ヘルスインタビュー」は、FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)規格に基づいて設計されており、医療機関が安全に患者へ医療情報を返却できることを目的としています。厚生労働省は2025年からFHIR形式で情報を共有する方針を打ち出しており、本システムもそれに準じています。これにより、医療機関は指定された範囲内で患者に医療情報を簡単に戻すことができ、患者自身がその情報を活用できる環境が整います。
将来的には、医療機関が得た収益の一部を患者に還元する仕組みも構想されています。加えて、WEB問診機能やAIリソース予約など多様な機能が搭載され、診察や受付業務の効率化、患者満足度の向上、医療の質の向上が期待されています。
メディレコの特徴
「メディレコ」は、患者が自分の返却された医療情報をスマートフォンで簡単に管理できるアプリです。このアプリでは、患者が自らの健康リソースを所有し、日常生活に活用できる新たな価値を提供しています。戻された情報は、医療機関やAIBTRUST社を含む第三者には一切見られないため、安全性が保障されています。また、本人確認にはマイナンバーカードが必要です。
このアプリは、デジタル庁によって提供されているデジタル認証アプリを活用して、マイナンバーカードによる本人確認を行います。将来的には、得られた医療情報を流通させたり、個人販売を通じて患者が収益を得ることも可能になるとしています。
技術的な特長
「ヘルスインタビュー」と「メディレコ」は、WEB3.0技術を駆使したTRUSTデータ連携基盤とスマートコントラクト分配技術を採用しています。この革新技術によって、以下のような機能を実現します。
- - 医療機関が保有する患者情報を安全に返却する
- - 患者が情報を安全に管理し、自由に利活用する
- - 外部機関が情報を利用する際には情報を移動させず、匿名性が確保される
- - 情報利用による収益を患者や医療機関に還元する
- ---
これらの機能は、国際基準に準拠した安全性を備えたものであり、健康・医療情報の共有やAI医療産業の発展に貢献することを目指しています。
ヘルスインタビューのDX機能
このシステムにはWEB問診機能があり、患者が受け取る問診データや返却データは自動的にFHIR対応されます。これにより、医療従事者は過去の病歴や治療経過を一目で把握し、適切な診断や治療計画を立てやすくなります。また、異なる医療機関間でのデータ共有もスムーズに行え、患者はどの機関でも一貫した情報に基づいて適切な医療を受けることが可能になります。
さらに、AIリソース予約機能によって、リソースの管理が自動化され、診療室の運営効率が向上します。AIは患者の誘導もリアルタイムで行うことができ、院内での診断や会計が円滑に進む仕組みを支えます。最終的には、長期的なコスト削減と運用効率化が実現するとされており、医療機関側にも大きな利益が期待されます。
料金プランと将来展望
「ヘルスインタビュー」には用途に応じて選べる3つのプランが用意されており、「メディレコ」は患者が基本的に無料で使用可能ですが、情報販売やAI診療を利用する際にはいくつかの手数料が別途発生します。
AIBTRUST社は、大阪大学の山田憲嗣先生のグループが開発した特許技術をもとに設立された企業で、医療情報の安全かつ効率的な活用を目指しています。そのために、医療学会における知識の共有や、全国の医療機関でのAI診療の普及活動を推進しています。
代表取締役社長の森岡康一氏は、デジタルマーケティングやデータソリューション分野で豊富な経験を持ち、今後の医療情報管理の新時代を切り開くことを目指しています。この動きが日本の医療業界にどのような影響を与えるか、引き続き注目が集まります。