乱気流予測プロジェクト
2025-09-24 14:55:20

航空機の安全性向上を目指す新たな乱気流予測プロジェクトの始動

航空機の安全性向上を目指す「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」への道



航空の安全性を高めるため、新たに始まる「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」が、2024年12月よりスタートします。このプロジェクトは、日本航空株式会社、国立大学法人東北大学、株式会社ウェザーニューズ、そしてDoerResearch株式会社が共同で取り組むもので、国土交通省の「交通運輸技術開発推進制度」にも採択されています。2027年以降の社会実装を目指し、航空運航の安全性向上と環境負荷の軽減を図ることが狙いです。

乱気流の実態とその影響



航空機にとって、「晴天乱気流」は特に危険な要素として知られています。晴れた空の高いところで発生するこの乱気流は、風の向きや速さが急変することで起こりますが、視覚的な兆候がほとんど無いため、隠れた危険となっています。レーダーによって捉えることができないため、その予測が大変難しく、航空機やその搭乗者に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

最近の調査によると、国内で発生した航空事故の約55%が乱気流が原因であることがわかっており、気候変動の影響により、過去40年間で晴天乱気流の発生頻度が55%も増加しています。このような背景から、航空の安全性を確保しつつ、効率的な運航を行うことが非常に重要な課題となっているのです。

従来の予測システムの限界



既存の乱気流予測システムは、広範囲の情報を扱いながらも更新頻度が低く、常に変化する空の状況に対応することが難しいという問題があります。そこで、「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」では、地球規模の気象データや、特定地域の詳細な解析と、飛行中の航空機から得られるリアルタイムデータを統合的に利用することを目指します。さらに、機械学習を活用し、情報を統合することで実用的なAI統合型予測システムの構築を目指しています。

これにより、国際線などで長時間のフライト中に大気条件が変化した場合でも、高精度で最新の乱気流情報を提供することができるようになります。また、便数が少なく、情報が得にくい地域でも予測の精度を高めることが期待されています。結果として、運航の安全水準が引き上げられるだけでなく、高度の変更や余剰燃料の搭載が抑制できるかもしれません。これにより、燃料費の削減やCO₂排出の軽減という、環境と経済の両面での効果も期待されます。

各社の役割と今後の展開



本プロジェクトでは、それぞれの企業が強みを生かして協力を進めます。日本航空は運航者の視点からプロジェクト全体を推進し、東北大学は科学的な気象データ解析を担当。DoerResearchが予測モデルの開発を行い、ウェザーニューズがサービス提供の体制を構築します。この4社が一体となって、実用化に向けた研究開発を進めることになります。

今後の展望としては、まず予測の精度を高め、その後、最新情報の提供機能に焦点を当てて開発を進めていく予定です。2027年度には、複数の路線や航空機で運航トライアルを行い、リアルタイム更新の模擬事例を拡充することにより、社会に実装することを目指します。これによって、航空機の安全性の向上に寄与することが期待されています。


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会社情報

会社名
日本航空株式会社
住所
東京都品川区東品川2-4-11野村不動産天王洲ビル
電話番号
03-5460-3121

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