新しい文化財デジタル化の時代が到来
文化財のデジタル化が進む中、その内部構造を鮮明に記録する手段は常に求められていました。特に土器等の狭い内部を正確に可視化することは、これまでの技術では容易ではありませんでした。しかし、ナルックス株式会社が開発した新しい小型3D工業用内視鏡「MiniIZ(ミニアイズ)」によって、文化財の内部を鮮やかに記録する新たな道が開かれました。
この技術の実証は、2025年11月19日に岐阜県飛騨市にある飛騨みやがわ考古民俗館で行われました。「MiniIZ」を使用し、特に撮影が難しい狭所や複雑な構造を持つ文化財のデジタル化に成功したのです。
背景|文化財デジタル化における従来の課題
文化財のデジタル保存において、フォトグラメトリ技術が普及していますが、狭い開口部の内部や、複雑な構造物の撮影は困難でした。特に注口土器のような事例では、内部の形状や注ぎ口の構造が研究や保存において重要で、従来の手法では目視のみの確認にとどまっていました。このような背景から、より革新的な技術が求められていました。
特徴|「狭所 × 即時 × フルカラー3D」を実現
ナルックスの「MiniIZ」は、2台の小型ステレオカメラを使用して、リアルタイムに奥行き情報を取得します。これにより、従来の技術では不可能だった即時3D表示が可能になり、観察位置や方向を直感的に把握することができるのです。また、撮影された画像はフォトグラメトリで解析され、フルカラーの3D点群データが生成されます。
主な仕様には、16×5×15mmのカメラヘッド、10〜100mmの作動距離、最高0.05〜0.5mmの精度などがあり、これにより狭所の内部構造も非破壊で詳細に記録できるのです。
実証内容|注口土器の内壁をフルカラーで3D化
実証では、福井県の飛騨みやがわ考古民俗館にて、所蔵されている注口土器の内部を「MiniIZ」で撮影し、外壁は従来のカメラを用いたフォトグラメトリでデータを取得しました。この内外データの統合に成功し、土器の厚みや内外形状の関係、内壁の凹凸などが定量的に可視化されました。
このプロジェクトは、考古学コミュニティ「石棒クラブ」主催のイベントとして一般参加者も交えたオープンな場で実施され、成果を広く共有することができました。
将来展望|幅広い分野への技術応用
「MiniIZ」による3D化技術は、文化財だけでなく、工業分野でも広がりを見せる可能性があります。ロボット作業支援や配管の点検、狭所構造物の非破壊検査など、さまざまな場面での応用が期待されています。今後はAIを活用した自動解析やクラウドでのデータ連携を進め、新しいワークフローの構築も目指していきます。
今後の展開に注目したいところです。
メディア掲載情報
この取り組みは2025年11月30日、中日新聞に取り上げられ、広く報道されました。ここでは「どんな形の土器も3Dデータで撮影可能」と紹介されています。
展示会情報
「MiniIZ」を含む技術は、食べることや遊ぶことに留まらず、常に新しい視点を提供するための様々な体験をもたらしてくれることが期待されています。2026年の4月22日から24日には、パシフィコ横浜で開催されるOPIE’26に出展し、狭所内部のその場での3D点群化デモを行う予定です。
会社概要|ナルックス株式会社
ナルックスは、光学技術と超精密加工を核とし、多様な分野で新たな価値を提供する企業です。医療、文化、研究、社会インフラなどにおいても、挑戦を続けています。詳細な情報については、ナルックスの公式サイトをご覧ください。お問い合わせも受け付けております。