ASEAN地域での温暖化対策は急務で、特にメタン排出の削減が焦点となっています。近年の研究により、メタンは二酸化炭素の約28倍もの温室効果を持つことが明らかとなり、その削減は低炭素化の重要な課題とされています。このような背景を受け、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は、マレーシア国営石油会社であるPETRONASとの協力を通じて、ASEAN地域初のメタン排出管理実証設備を設立する計画を進めています。
2023年に行われたASEAN Energy Sector Methane Leadership Program(ASEAN MLP)2.0の公表において、Southeast Asia METEC(メタン排出技術評価センター)の設立が発表されました。この設備は、ASEAN MLP1.0に続くプログラムとして位置づけられ、マレーシアでの活動を拡大、地域全体におけるメタン排出管理の重要性を高めるものです。
Southeast Asia METECでは、PETRONASをはじめ、Universiti Teknologi PETRONAS(UTP)やInstitut Teknologi Petroleum PETRONAS(INSTEP)とのパートナーシップを通じて、地域特有の天然ガス生産設備に対応したメタン排出管理手法を検討します。具体的には、排出量の測定やモニタリング、報告および検証プロセスを通じて、各国の企業がメタン排出の削減に向けた取り組みを行える基盤を構築します。これにより、天然ガス開発の事業者は、事前にメタン測定技術を評価し、より効率的な計画策定が可能となります。
また、JOGMECは日本と韓国の大規模なLNG輸入国としても活動しており、2023年7月に発足したCLEANイニシアティブの枠組みの中で、LNGバリューチェーンにおけるメタン排出対策を進めています。このイニシアティブは、生産者との連携を強化し、メタン排出の透明性を向上させることを目的としています。2024年に開催予定のLNG産消会議では、メタン排出削減の取り組み事例が紹介される予定です。
ASEAN MLP2.0は2024年から2026年までの期間に実施され、ASEAN地域全体でのメタン排出検証設備の設立が進められることとなります。各国の参加が期待され、JOGMECもこのネットワークが強化されることに寄与します。
このような国際的な連携が進む中、日本としては、JOGMECが生産国と共にメタン排出対策に関する技術的な連携を深めていくことが求められています。これにより、日本へ輸入されるLNGのバリューチェーン全体のクリーン化が期待され、持続可能な未来へ向けた重要な一歩となるでしょう。私たちの環境や次世代のためにも、メタン排出削減への意識を高めていく必要があります。
ASEAN地域でのメタン排出管理は、今後の地球環境を見据えた重要な取り組みです。メタンの削減は、全ての人々に影響を与える問題であるため、その進展に注目が集まります。