国内最大規模のアカデミア技術シーズ支援プログラム「1stRound」
日本が誇る技術シーズを活かすアカデミアの起業支援プログラム「1stRound」は、今般新たに静岡県公立大学法人静岡県立大学と、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、さらに国立研究開発法人理化学研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の2国立研究機関が参画することが決まりました。このプログラムは、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)が中心となり、17の大学と2つの国立研究機関と共催しており、国内のアカデミアから生まれるさまざまな技術を社会実装に結びつけることを目的とした画期的な取り組みです。
「1stRound」の背景と目的
日本アカデミアには、頑張るべき技術シーズが数多く存在しますが、現状ではその事業化のための支援が不足しています。そこで、2017年に東京大学を母体として始まった「1stRound」は、技術シーズを社会実装へと導くための支援を行っています。このプログラムは、事業化の初動を加速させるためのNon-Equity資金支援や、事業価値を算定可能なスタートアップへのハンズオン支援を行っており、その活動が広がりを見せています。
2019年に名称を「1stRound」と改め、コーポレートパートナーの参加を得て、コンソーシアム形式で拡大を続けてきました。新たに参画した静岡県立大学と奈良先端科学技術大学院大学も加わることで、共催機関は国公立・私立の合計18大学、さらに4つの国立研究機関に広がりました。これにより、大学と研究機関の連携を強化し、技術シーズ支援の拡大を図っていく計画です。
成果と成功率
「1stRound」は、過去8年半の間に93チームを採択し、企業設立や資金調達の支援を行ってきました。驚くことに、その資金調達成功率は約90%以上、大型助成金の採択率も50%を超えています。さらに、コーポレートパートナーと協業関係を築くことに注力しており、多くのチームが企業と連携を果たしています。
特に、各回のプログラム参加チームの半数以上が協業に至る結果に結びついており、これは「1stRound」の支援がアカデミア関連スタートアップの成功を後押ししていることを示しています。今後も、アカデミア内の連携や企業とのオープンイノベーションを通じて、さらなるイノベーションエコシステムの構築に取り組んでいきます。
各大学/研究機関からの期待
新たに参画した各大学や研究機関のリーダーたちも、「1stRound」への参加を非常に喜んでいます。静岡県立大学の今井康之理事長は、大学の基礎研究成果を育て、社会実装につなげる支援を行う意義を強調し、奈良先端科学技術大学院大学の髙木博史産官学連携推進部門長も、他機関との連携を通じたスタートアップ支援の重要性を述べています。
また、理化学研究所の稲田剛毅連携促進部長は、今回の参画により知の社会実装や技術移転が進むことを期待していると話し、JAXAの内木悟新事業促進部長も、宇宙関連スタートアップへの支援強化が進むことで、宇宙関連産業の成長に寄与できると期待を寄せています。
今後の展望
「1stRound」は、毎年2回実施され、2024年10月7日から第12回の公募を開始します。挑戦する企業や研究者にとって、貴重な機会です。また、これからもアカデミア関連スタートアップの更なる拡大と、イノベーション・エコシステムの構築を目指して取り組んでいきます。詳細な情報は公式ウェブサイトでご確認ください。