世界初のPFAS分析に特化した保存容器が登場！健康への影響を考える

世界初のPFAS分析専用保存容器の誕生

埼玉県で、環境科学国際センターが民間企業と共同で開発したPFAS分析用の保存容器は、これまでの課題を克服した画期的な製品です。この保存容器は、PFAS（有機フッ素化合物）の正確な測定を実現し、自然環境の実態解明に寄与することが期待されています。PFASは高い撥水・撥油性、熱に対する安定性などから広く使用されてきましたが、自然環境や体内で分解されにくく、健康への影響が懸念されています。

PFASとは

PFASは、撥水・撥油剤や消火泡などで利用されてきた化学物質の総称で、特にPFOS（ペルフルオロオクタンスルホン酸）やPFOA（ペルフルオロオクタン酸）は、有害性や難分解性、高蓄積性が指摘されています。これらの化合物は環境や食物連鎖を通じて人々の健康に影響を及ぼす可能性があり、2009年と2019年には国際的に使用や製造が禁止されました。日本においてもPFOSは2010年、PFOAは2021年から製造と輸入が原則禁止されており、その許容量が厳格に定められています。

開発された保存容器の重要性

PFASの正確な測定には、標準試薬が必要で、その保存には特に注意が必要です。従来の保存容器は、試薬の揮発やフッ素化合物の溶出などの問題が存在し、長期間の安定性を確保することが困難でした。新たに開発された保存容器は、以下の点で従来の課題を克服しています。

- 気密性の向上: 蓋の隙間を改良し、PFASを溶かす液体の蒸発を防ぎ、標準試薬の濃度を維持します。
- 素材の選定: フッ素樹脂を使用せず、PFASの混入リスクを排除する素材を採用しています。

これにより、PFASの分析がより正確に行えるようになり、今後の環境調査や健康影響評価に大きく貢献することが期待されています。

環境科学国際センターの役割と未来

環境科学国際センターは、保存容器のデザインや材料選定、保存性評価を行い、有限会社ラブディポットと協力してこのプロジェクトを進めました。2024年7月には製品化され、販売が開始される予定です。この貴重な成果は、9月に予定されている国際学会で発表され、世界中への発信が期待されています。この新たな取り組みにより、PFASの問題解決が加速し、より健全な環境作りへとつながることでしょう。

今後も、PFASに対する理解が深まり、その測定手法が進化することで、環境や健康への影響をより適切に把握していく必要があります。環境科学国際センターへの問い合わせは、化学物質・環境放射能担当の竹峰氏（電話0480-73-8372）まで、また、土壌・地下水・地盤担当の髙沢氏（電話0480-73-8368）へご連絡ください。