世界から見た日本のキアゲハ
大阪市立自然史博物館でミニ展示「世界から見た日本のキアゲハ~様々な近縁種の紹介~」が開催されます。この展示では、身近な存在であるキアゲハの魅力を深く掘り下げ、日本だけでなく広い地域に分布する近縁種も併せて紹介される予定です。
キアゲハとは?
キアゲハは、アゲハチョウ科に属する蝶で、学名は
Papilio machaonです。日本をはじめ、ユーラシア大陸やアメリカ大陸に広く分布していることで知られていますが、その中でも特に日本のキアゲハは、他の地域と比較して大型化する特徴があります。特に夏型雌はそのサイズが顕著で、特大の個体が見られることもあります。
近最近では、キアゲハの分類についての研究が進み、形態や遺伝子解析の結果から、P. machaonの亜種が一部独立種に昇格するなど、その研究が進んでいる点も注目されています。この研究成果により、サハリンや日本列島、さらには韓国済州島に生息する個体群が2023年に独立種として認識され、
Papilio hippocratesと名付けられました。2024年にはこの新種の独立性が遺伝子解析によって裏付けられるとのことです。
キアゲハと人々の生活
日本におけるキアゲハは、農業害虫として知られており、その食草となるセリ科植物には、ニンジンやセリ、パセリなどが含まれます。このため、私たちの日常生活とも深く関わっています。ただ、日本国内では比較的普通種とされていますが、地域によっては保護が必要なほど希少な種も存在します。
イギリスのP. machaon britannicusは非常に少なく、保護されています。また、台湾のP. machaon sylvinaは絶滅の危機に瀕しているとの報告もあります。フランスのコルシカ島に生息する
P. hospitonも絶滅の恐れがあり、ワシントン条約によって保護対象とされています。こうした地域差において、キアゲハの近縁種は非常に多様であることがわかります。
展示概要
このミニ展示では、日本国内のキアゲハに加え、世界中の様々な近縁種を紹介します。それぞれの種が持つ特徴や生態について学ぶことで、私たちの自然環境への理解も深まることでしょう。
開催情報
- - 名称: ミニ展示「世界から見た日本のキアゲハ~様々な近縁種の紹介~」
- - 会期: 令和7年2月28日(金)~3月30日(日)
- - 開館時間: 2月は9時30分~16時30分(入館は16時まで)、3月は9時30分~17時(入館は16時30分まで)
- - 休館日: 月曜日(祝日直後の平日も同様)
- - 会場: 大阪市立自然史博物館 本館1階出入口付近
大阪市の自然の数々を再確認できる機会です。ぜひ足を運んで、キアゲハの世界に触れてみてはいかがでしょうか。