株式会社Recursive(リカーシブ)は、サウジアラビアのキング・アブドラ国際医療研究センター(KAIMRC)との間で、結核の早期スクリーニングを実現するAIシステムの共同開発に関する覚書を締結しました。
このプロジェクトは、AI技術を駆使して、結核の診断精度と速度を向上させるものであり、サウジアラビアの国家警備省が主催した「リヤド・グローバル・メディカル・バイオテクノロジーサミット」で正式に発表されました。サウジアラビアでは結核が重大な健康課題として取り上げられており、世界保健機関(WHO)によると、2023年には結核が感染症による死亡原因で最も多い病とされています。
Recursiveは、KAIMRCと連携し、胸部X線画像データを使った結核スクリーニングのプロセスを迅速化する高性能AIを開発します。この取り組みは、結核の早期発見を促進し、患者の治療までの時間を短縮することが期待されています。この新しいAIシステムは、サウジアラビア国内だけでなく、結核の問題に直面している国や地域での医療システムの改善にも寄与する見込みです。
サウジアラビアでは、「結核終息戦略」に基づいて2035年までに結核による死亡率を95%、罹患率を90%減少させるための目標が掲げられており、Recursiveの努力がその実現に貢献できることが期待されています。また、このプロジェクトは国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)とも関連が深く、健康な生活を全ての人に提供することを目指しています。
RecursiveのCEO、ティアゴ・ラマル氏は、「KAIMRCとの協力は、AI技術を用いて持続可能な未来を実現するための大きな一歩です。このパートナーシップを通じて、世界中の結核や他の感染症の問題に対して有意義な解決策を提供することができると信じています。」とコメントしました。
現在、結核は適切な治療と診断が行われれば予防可能な病ですが、診断の遅れは致命的になる恐れがあります。このプロジェクトの成功は、早期検出による治療開始を可能にし、結果的に多くの命を救うことにつながるでしょう。今後、Recursiveは、AI技術の開発を続け、グローバルな健康課題に立ち向かうための努力を一層強化していく方針です。
この覚書は、AIとデータサイエンスを活用することで、結核対策だけでなく、他の感染症にも応用する可能性を秘めており、感染症による健康リスクを低減するための重要な扉を開くことになります。Recursiveは、今後も科学者や医療機関との連携を強化し、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。