東急不動産が発表したTNFDレポート第3版
東急不動産ホールディングス株式会社は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の最終提言を基にした「TNFDレポート第3版」を公開しました。このレポートでは、同社のリゾート事業における自然資本への影響及びその対策が分析されています。
リゾート施設の分析
本レポートでは、特に「東急リゾートタウン蓼科」が取り上げられています。このリゾートは、長野県茅野市に位置し、標高1,100mから1,800mに広がる約660ヘクタールに及んでいます。1974年からの開発により、多様な施設が提供されており、近年では自然と共生したリゾート環境が整備されています。
分析では、リゾート開発がもたらした自然への影響を評価するため、同社はシンク・ネイチャーと協力し、過去50年間以上にわたる森林面積の変化を調査。結果、開発前と比較して森林面積が増加していることが確認され、自然へのネガティブな影響を和らげていると評価されました。
自然への依存とその保全
「東急リゾートタウン蓼科」では、豊かな自然環境が観光資源として重要な役割を果たしています。特に、ここに自生するカラマツは、日本固有の樹種で、地域の自然美を象徴しています。カラマツの生息地である同リゾートは、観光客を魅了するだけでなく、地域の生態系の保護にも寄与しています。
また、当社は木材の地産地消を促進する取り組みを行っており、間伐材を利用した商品開発や森林保全活動への参加を通じて地域社会への貢献をしています。子供たちを対象とした植樹体験なども実施し、自然環境への理解を深める活動にも力を入れています。
環境へのインパクト評価
TNFDのフレームワークを用いて、土地利用による自然への影響を定量的に評価した結果、開発開始から現在までの森林面積は増加傾向にあります。このデータから、同社のリゾート開発が生態系の保全に貢献していることが明らかとなりました。
さらに、森林経営計画を進めることで、高齢化する樹木が多い地域でも生物多様性を守るための管理が行われており、スムーズな生態系の維持が期待されています。
気候変動への取り組み
「東急リゾートタウン蓼科」では、気候変動対策にも注力しており、森林経営に基づくCO2吸収が評価されています。2022年にはJ-クレジット制度において初めての認証を受け、年間892トンのCO2を吸収していることが示されており、累積的には7.4万トンに達しています。この取り組みにより、脱炭素社会の実現にも寄与していると言えます。
今後も同社は、適切な自然管理を続け、生物多様性の保護と調和したリゾートライフの提供を目指します。リゾート利用者には、豊かな自然を通じて、その重要性を理解してもらうための努力を続けていく予定です。
TNFDレポートの詳細については、東急不動産の公式ウェブサイトをご覧ください。