BioPhenoMA、PD-L1測定試薬を通じてがん研究の新時代を切り開く
株式会社BioPhenoMAが開発したPD-L1超高感度測定試薬「TN-cyclon™ ELISA KIT」は、2023年11月下旬から一般販売が開始され、10月9日から11日にかけて開催されたBioJapanで先行受付が行われました。この試薬は、がんの診断や治療効果の評価において、重要な役割を果たすと期待されています。
PD-L1とは
PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)は、がん治療において重要な免疫チェックポイント分子の一つです。このタンパク質は、T細胞の活性を抑制する役割を持ち、癌細胞が免疫系から逃れる手助けをしています。そのため、PD-L1の変化を測定することは、がんの進行や治療の効果を判断する上で重要です。
TN-cyclon™の誕生
BioPhenoMAは早稲田大学の伊藤悦朗教授と協力し、極微量タンパク質を高感度で測定する技術「TN-cyclon™」を開発しました。この技術は、一般的なバイオラボの設備で利用できるため、新しいアプローチでPD-L1を測定可能にします。特に、これまで高額な設備が求められたエクソソームの分析にも対応している点が特筆されます。
画期的な測定感度
BioPhenoMAの「TN-cyclon™ ELISA KIT」は、血清中のPD-L1を0.1 pg/mLという非常に低い濃度から検出することが可能です。一般的なELISA法は1 pg/mL以上の検出限界を持つため、TN-cyclon™はこれを10倍超える感度を実現しています。また、エクソソーム内のPD-L1の定量検出も可能で、研究者にとって非常に有用なツールとなります。
研究における重要性
がん患者の血清中にも微量のPD-L1が存在することから、早期がんの診断や治療のモニタリングにおいて、PD-L1の量的変化を正確に把握することが求められています。BioPhenoMAの新しい試薬は、これを実現するためのブレイクスルーと言えるでしょう。
今後の展望
BioPhenoMAは、PD-L1測定試薬を皮切りに、脳神経や感染症分野など、様々な領域での測定試薬の開発・販売を進めていく方針です。これにより、医療現場での早期発見やコンパニオン診断が進むことが期待されています。
URL:
BioPhenoMA公式サイト
今回の「TN-cyclon™ ELISA KIT」の登場は、がん研究や治療におけるPD-L1の理解を深める新たな手段を提供し、さらに将来的には生物医学の進歩に寄与することが期待されています。今後の展開にも注目です。