日本のITエンジニア給与、厳しい現実
最近、ヒューマンリソシア株式会社が発表した「データで見る世界のITエンジニアレポートvol.15」によると、世界73カ国のITエンジニアの平均年収に関するデータが集計され、日本はUSドルベースで31位、前年比の増減率では59位という厳しい現実が明らかになりました。この結果は、国際労働機関(ILO)や経済協力開発機構(OECD)などの公表データをもとに独自に算出されたものです。
世界のITエンジニア給与ランキング
調査によれば、最も給与が高い国はスイスで、次いでアメリカ、デンマークが続きます。一方、日本のITエンジニア平均年収は約30,040USドルで、昨年の26位から31位へと順位を落としました。特に、前年比での減少率は驚異的な-16.7%であり、競争が激化する中で日本のITエンジニアの給与が縮小している現状が浮き彫りとなりました。
ヨーロッパ地域の台頭
さらに、前年からの増加率で見ると、ポーランド、ポルトガル、ラトビアが上位にあり、特にヨーロッパの国々においてITエンジニアの給与が上昇傾向にあります。この状況からわかるように、ヨーロッパはIT人材の獲得においてアドバンテージを持っており、日本はその流れにリアルタイムで追いつけていないのが現状です。
グローバル人材獲得競争の影響
日本のデジタル化が進む中、グローバル人材の確保が急務となっていますが、IT業界における日本の競争力低下は深刻です。優秀な人材が流出し、日本市場への魅力が減少することが懸念されています。また、G7構成国の中で日本だけが前年比で給与が減少しており、現地通貨ベースでも日本のITエンジニア給与は下がる一方です。
今後の展望
この現状を打破するためには、企業が日本のITエンジニアに高い給与を支払うことや、海外からの優秀な技術者を積極的に受け入れる体制を整える必要があります。ヒューマンリソシアが展開する「Global IT Talentサービス」では、海外のITエンジニアを積極的に採用し、日本企業に派遣するサービスを提供しています。このような取り組みが、国内の人材不足を補う一助になると考えられます。
日本のITエンジニア給与の現状を受けて、業界内外での意識改革が求められています。ITエンジニアの給与改善や海外人材の積極的な活用が進むことで、今後日本のIT市場はより活性化され、グローバルな競争力を高めていくことが期待されます。