世界遺産白川村の酒蔵プロジェクト
岐阜県に位置する白川村が、今年、岐阜最大の日本酒酒蔵である渡辺酒造店と手を組み、新たな酒蔵「白川村の蔵」を設立するプロジェクトを開始しました。この新たな酒蔵は、もともと小学校があった跡地に建設される予定で、将来的には白川村の名産品となる日本酒を生産することを目指しています。
プロジェクトの背景
昨今、日本酒業界は厳しい状況に直面していますが、渡辺酒造店は過去のピンチを乗り越え、経営方針を見直すことで業績を劇的に回復させてきました。2023年の訪日外国人消費はコロナ前を上回る成長を続ける中で、白川村の観光資源を活用したいとの思いから、この酒蔵プロジェクトが動き出しました。
酒造りに向けた地域貢献
白川村の村長、成原茂氏からの提案を受け、渡辺酒造店は「日本でも最高の酒蔵」を白川村に設立し、地元の経済を活性化することを約束しています。酒米は白川村産の「山田錦」を高値で買い取るとし、この取り組みを地域の発展につなげます。新たな酒蔵の設立は、地域に新しい雇用を創出し、さらには酒粕を地元のブランド豚の餌とする計画もあります。これにより廃棄物を出さず、環境への配慮も行われます。
渡辺酒造店の挑戦
渡辺酒造店は、過去数十年、日本酒業界の厳しい現実に直面してきましたが、業務の見直しにより、年商が14億円を超えるまでに成長を遂げました。その成長の一因は、「エンタメ化経営」とも呼ばれる、顧客との絆を深める取り組みと品質向上への徹底した努力にあります。
具体的には、2007年から定期的に行われる「蔵まつり」では無料の試飲や地元の食を提供し、多くの観光客を引き寄せています。さらに、ユニークな商品開発が行われ、特に斬新なネーミングが目を引きます。これらの取り組みが評価され、数々の賞を受賞しています。
白川村の蔵に寄せる期待
新たに設立される「白川村の蔵」は、2026年に稼働を開始する予定です。敷地面積3678㎡、建物は572坪の規模で計画されており、訪れる人々を惹きつける見学コーナーも設けられる予定です。また、プロジェクトの始動を記念して、「白川村の蔵」ブランドの商品がふるさと納税の返礼品として販売されることも発表されています。
この酒蔵の設立により、白川村と渡辺酒造店の共生が促進され、地域活性化が期待される中、地元経済の振興や日本酒文化の発展に大きな役割を果たすことでしょう。観光客が日本酒を通じて白川村の魅力を再発見する機会となるのが楽しみです。
今後、白川村の蔵がどのように成長していくのか、その行く先に期待が高まります。