人形供養祭:愛着ある人形を大切に送る儀式
さいたま市岩槻区は「人形のまち」として知られていますが、その地域に深く根ざした伝統行事である「人形供養祭」が、毎年11月3日(祝)に行われます。今年で61回目を迎えるこのイベントでは、役目を終えた人形たちの冥福を祈り、多くの参加者が集まります。
この供養祭は、岩槻仏教会の僧侶による読経のもと、参加者が一つ一つの人形に向けて焼香し、その存在をしっかりと送り出す大切な場です。人生の様々な瞬間に寄り添ってきた人形たちの感謝の気持ちを込め、供養を行うことが主旨となっています。
例年、黒門周辺に並ぶ人形たちには、古くなったひな人形や五月人形、さらには西洋人形やぬいぐるみも含まれ、参加者が心のこもった供養をします。供養対象には、ガラスケースや道具類、陶器製の人形などが含まれませんが、数多くの思い出を語る機会が提供されます。
岩槻人形協同組合の役割
このイベントを主催するのは、岩槻人形協同組合人形供養祭実行委員会です。参加者に対して、戸塚大介さんは「この供養祭は、飾りたくても飾れない人形の思い出を語る場として、多くの方にご利用いただきたい」と話しています。また、思い出を大切にしつつも、次の世代へと送っていく場面を体験できる点が、この祭りの魅力の一つです。
年間を通しての受付も
イベントは11月3日の当日に限らず、年間を通じて人形の持ち込みを受け付けています。当日は10時から14時までの受付が行われ、式典は11時から開始されます。供養料は一軒あたり3,000円からとなっており、特に事前に申し込みをする必要はありません。
思い出の共有と感謝の気持ち
昨年のイベントでは、参加者から「お人形には家族の思い出が詰まっている」といった感想が多く寄せられました。家族や子供の成長を振り返る瞬間があり、多くの笑顔と共に温かな空気が場を包みます。戸塚さんは、参加者が「良い思い出を心に抱いて人形を見送ってほしい」と願っています。
詳細情報
供養祭は雨天決行となっていますので、天候に関わらず安心して参加できます。詳細については、岩槻人形協同組合の公式ウェブサイトや問い合わせ先を通じて確認することができます。
古い人形たちを手放す際の名残惜しさを包み込み、丁寧に送ることで、心に留めた記憶を次に繋げていくこの「人形供養祭」。愛着のある人形を持つ方々にとって、ぜひ一度訪れてみてほしいイベントとなっています。