江崎グリコ、物流モデルの革新で表彰
江崎グリコ株式会社が、令和7年度の物流パートナーシップ優良事業者表彰で経済産業大臣表彰を受賞しました。この受賞は同社が卸売業との連携を深め、新たな物流モデルを構築した結果によります。物流分野でのイノベーションが求められる中、江崎グリコはその先駆けとなりました。
受賞の背景
物流業界における冷蔵品の輸送は、厳しい納品条件や低い積載率、環境負荷、そして深刻なドライバー不足といった課題に直面しています。江崎グリコはこれらの課題を打破すべく、新たな物流システムの構築に取り組んできました。
新たな取り組み
江崎グリコは株式会社サンライズグランドフーズと協力し、静岡県において段積みカーゴを活用した物流シェアリングを始めました。共同配送を行うことで、トラックの積載率を向上させ、効率的な輸送が実現したのです。また、従来の配送条件を見直すことで、納品時刻や荷降ろし方法などを柔軟に対応し、配送コースの再設計も行いました。
具体的な成果
この新たなシステムにより、江崎グリコのトラック台数は、静岡方面への直接配送を1日6台から2台に減らしました。これにより、年間で見ても66%の削減が達成され、二酸化炭素(CO₂)排出量は32%の削減に至りました。さらに、労働時間は60%削減され、運転手の負担も軽減されたのです。積載率も向上し、江崎グリコの便では44%から54%に、卸売業便としては53%から70%に改善されました。
受賞の理由
江崎グリコの受賞理由は、メーカーと卸売業の協業により、冷蔵品の配送における共同配送モデルを確立した点が評価されました。荷主としての立場から納品条件を見直すことで、輸送品質を保ちながら新たな仕組みを実現したのです。従来の慣習にとらわれず、チルド物流の新たな形を作り出すことに成功しました。
今後の展望
江崎グリコは、今回の成功事例を踏まえ、全国規模での物流効率化を図り、さらなる環境負荷の低減に貢献する展開を目指しています。業界全体への影響を意識し、卸売業や小売業との連携を深化させることが求められています。日々の配送業務の効率化だけでなく、環境保護への取り組みが同時に行われるこのプロジェクトは、今後の物流業界の新しいスタンダードとなる可能性を秘めています。
江崎グリコの取組みは、食品業界全体にとっての参考となり、他地域への展開も視野に入れた非常に先進的なモデルと言えるでしょう。業界が抱える諸問題を解決するための取り組みとして、今後も注目が集まることでしょう。