監査におけるAIの可能性
2025-09-09 11:17:00

AIを活用した監査の革新:EY新日本の新たな取り組み

AIを活用した監査の革新:EY新日本の新たな取り組み



EY新日本有限責任監査法人は、監査の分野でAIエージェントを活用し、業務の効率化と品質の向上を目指す新たな取り組みを発表しました。このAIエージェントは、財務諸表のリスクを素早く識別し、監査プロセスを改善することが期待されます。特に、上場企業の監査において、被監査企業の有価証券報告書や適時開示情報、一般経済レポートなどから、財務諸表の虚偽表示に繋がる可能性のあるリスクを自動で抽出し、根拠をもとにレポートにまとめる「UTB (Understanding The Business) Research」を開発しました。

この技術により、従来では会計士が数日を要していたリスクの識別が、わずか数時間で完了するようになります。AIが持つ膨大な情報処理能力と、経験豊富な会計士の知識を組み合わせることで、リスクをより正確に、そして迅速に把握することが可能になります。これにより、リスク情報の見落としを防ぐことができ、監査業務全体の効率化を図ることができます。UTB Researchは、今月から約700社の上場企業に対して利用が開始され、この技術の実用化に期待が寄せられています。

EY新日本では、国際監査基準の要件を基にしつつ、日本の基準も併せて考慮した監査手法を提供しています。この新たなAIエージェント「UTB Research」は、EY独自の監査メソドロジーに加えて、業界の専門家の知見も学習させられています。そのため、企業のビジネス状況や経済環境に基づいて「複雑性」「主観性」「変化」「不確実性」の観点からリスク情報を分析し、財務諸表のどの部分が影響を受けるのかを検討します。このプロセスを通じ、生成されたリスク情報は、会計士によって確認され、実際に監査に影響を及ぼすかどうかの判断も下されます。

AIが提供する情報は、監査計画の更新や被監査企業とのコミュニケーションに活かされ、全体として監査業務の付加価値が向上することが期待されています。EY新日本では、監査のデジタル化を推進しており、今後も様々なAIエージェントを展開する計画を持っています。稟議書、議事録、契約書の分析からデータの自動分析に至るまで、多岐にわたる分析にAI技術を取り入れることで、監査の質をさらに高めていく方針です。

EYは、クライアントや社会に対する信頼を基盤に、価値の創出を目指しています。データ、AI、先進テクノロジーを駆使し、顧客が未来を自信を持って形作るためのサポートを行っています。また、EYの活動は、アシュアランス、コンサルティング、税務など、様々な領域にわたります。150以上の国と地域でサービスを展開する中で、多様なエコシステムパートナーと連携しながら、業界知見を活かして顧客へのサービス提供に努めています。

この技術の導入により、従来の監査業務がどのように変化し、業界全体にどのような影響を与えるのか、今後の展開に注目が集まります。EY新日本の取り組みは、監査業務の未来を大きく変革する可能性を秘めています。これにより、より高次の信頼性と効率性を兼ね備えた監査が実現されることでしょう。

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