エンソート、出光興産とのパートナーシップ拡大で電池材料開発を加速
科学を基盤とした企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を専門とするエンソートは、総合エネルギー企業である出光興産とのパートナーシップを拡大し、革新的な電池材料の開発および製造のスケールアップを支援すると発表しました。この提携により、エンソートの独自プログラムである「マテリアルズインフォマティクス推進プログラム」の契約が更新され、新たな戦略的技術コンサルティングおよび実装サービスが提供されます。
今回のパートナーシップ拡大は、出光興産がカーボンニュートラルの実現に向け、マテリアルズインフォマティクスやプロセスインフォマティクス、DXを活用した製品研究開発(R&D)を加速させる決意を示すものです。
出光興産は、石油精製のトップ企業からエネルギー材料分野のリーディングカンパニーへの変革を目指しており、2030年のカーボンニュートラル達成に向け、全固体電池の製造に向けた固体電解質(SE)の実用化を目指しています。同社はデジタル化への投資を強化しており、2023年にエンソートと提携し、材料およびプロセス開発を加速させてきました。
出光興産の先進マテリアルカンパニー 技術戦略部 戦略企画室長 水野洋 博士は、「エンソートは材料科学とデジタル技術の双方において深い専門知識を持ち、私たちの研究者やエンジニアと密に連携しながら、非常に困難な問題を解決するための科学的なソフトウェアソリューションを開発しています。エンソートの専門知識と、効果的に既存のワークフローの課題点を洗い出し、理想的なワークフローやロードマップを描く手法、そしてアジャイル開発手法により、これまでにない質と効果を持つソフトウェアが生まれました。このような理由から、私たちはエンソートとのパートナーシップを拡大し、挑戦的なビジネス目標の達成を目指します」と述べています。
DXは、出光興産の短期的なビジネス成長目標である顧客への新しい価値の提供や社内の生産性向上だけでなく、長期的なカーボンニュートラル達成に向けた新たな先進材料ビジネスや製品ラインの創出にも不可欠です。マテリアルズインフォマティクスは、材料科学、データサイエンス、科学的コンピューティングを組み合わせた現代的な材料発見および製品開発アプローチであり、これらの目標達成に重要な役割を果たします。
DXおよびマテリアルズインフォマティクスを成功させるためには、新たなデジタルインフラやツールの導入、組織全体にわたる新しい業務プロセスの確立、そして包括的なデジタルスキルアップ計画の実施が必要です。これらの取り組みの結果、出光興産は2021年および2023年に日本経済産業省(METI)からDX認証を取得しています。
エンソートのプロフェッショナルサービス&カスタマーサクセス兼マテリアルズインフォマティクス担当ディレクター マイク・ハイバー博士は、「適切に活用されたマテリアルズインフォマティクス技術は、研究所や事業部門を真に変革する力があります。現在その変革が出光興産で実現されています。私たちは、過去3年間にわたり出光興産のR&DにおけるDXの進展を支援し、その加速に貢献できたことを大変光栄に思います。私自身も持続可能性に強い関心を持っており、私たちのマテリアルズインフォマティクスの専門知識を活かして輸送手段の電動化を支援し、出光興産がカーボンニュートラル目標を達成する手助けができることを非常に嬉しく思っています」と述べています。
エンソートについて
エンソートは、独自の技術と深い科学的専門知識で研究開発におけるデジタルトランスフォーメーションを支援し、科学的発見の加速と継続的な革新を推進しています。独自のプロセス、人材、テクノロジーを横断して変革するアプローチにより、デジタルを駆使できる研究者を育成し、分析可能な科学データの活用を加速させることで、ラボが科学とビジネスにおける価値創出の促進者になるようにしています。エンソートのアプローチは、電子、半導体、材料設計、製造、製薬、バイオテクノロジー、エネルギー、消費財に及ぶ様々な業界で研究開発組織の変革を支援しています。本社は、テキサス州オースティンに位置し、日本の東京、英国ケンブリッジ、スイスのチューリッヒにもオフィスを構えています。
出光興産について
出光興産は、燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の各分野において、様々な分野のパートナー・顧客との信頼関係をベースに、多様なエネルギーと素材の開発・製造・販売を手掛けています。2050年カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向け、「一歩先のエネルギー」、「省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域への進化を目指し、国内外のネットワークを活用して新たな挑戦を続けています。