TRNSYS最新バージョンが提供開始
2023年7月より、建築業界で広く使用されているシミュレーションソフトウェアTRNSYSの最新バージョン1.87が提供されています。この新しいバージョンでは、計算エンジンの強化から新機能まで、多くの改善が施されています。ここでは、その主な機能について詳しく解説します。
TRNSYS計算エンジンの進化
1.
64bit版の提供
TRNSYS1.87では、64bit版が利用可能となり、より大規模で複雑なシミュレーションを処理できるようになりました。これにより、大量のデータを扱う際のパフォーマンス向上が期待されます。
2.
日射計算の改良
新しいバージョンでは、日射の計算方法が見直され、これまで以上に信頼性の高い結果が得られるようになっています。また、湿り空気線図状態計算が最新のASHRAE Handbookに準拠しており、業界標準に基づいた精度の高いシミュレーションが可能です。
3.
自動レポート生成機能
報告書作成の手間を省く自動レポート生成機能も追加されています。これにより、シミュレーション結果を簡単に共有することができます。
TypeStudioの新発表
新たに追加された
TypeStudioは、統合型FORTRANコンパイラの役割を担っており、ユーザーがより洗練されたコードを生成できるようサポートします。これは、シミュレーションプロジェクトの柔軟性を高める要素となっています。
Simulation Studioの強化
Simulation Studioでは、パラメトリックスタディ機能が導入され、FORTRAN90形式のソースコードも生成可能です。また、昼光シミュレーションを含む新しいプロジェクトの生成機能により、より詳細なシミュレーションができます。
TRNBuildの機能拡充
TRNBuildは、多数室温熱計算モデルという新機能を搭載しました。DaySIMやRadianceに基づく昼光シミュレーションが統合されたことにより、快適性計算も強化されました。具体的には、ASHRAE Standard 55-2013に沿った快適性の評価が可能です。
コンポーネントの追加
新バージョンでは、43の新規コンポーネントが追加され、コントローラー、HVAC、電機設備などの要素が充実しました。また、PythonやCoolPropなどの外部連携が可能となり、シミュレーションの選択肢が広がります。
アドオンの強化
アドオンのひとつである
TRNSYS3Dや
TRNLizardは、SketchUpやRhino/Grasshopperと連携して形状モデリングを効率化するツールです。これにより、設計スペースの視覚化がスムーズに行えるようになります。
その他の新機能
さらに、新たに初心者向けのチュートリアルが提供され、HVACシステムのサンプルも追加されています。これにより、使用開始が容易になり、ユーザーにとっての利便性が向上しました。
価格と対応OS
TRNSYS18の価格は、一般企業が909,000円(税別)、教育機関は700,000円(税別)となっています。対応OSはWindows7、8、10の各64bit版です。
会社概要
TRNSYSを開発・提供している株式会社クアトロは、東京都目黒区に本社を置き、1992年に設立されました。建築物に関する設計や監理を行いながら、ソフトウェアの開発・販売を手掛けています。
今後、TRNSYSはさらなる機能拡充が期待される中、建築業界におけるシミュレーションソフトウェアとしての位置づけを強化していくことでしょう。詳細情報は
公式サイトをご覧ください。
本件についてのお問い合わせは、株式会社クアトロのTRNSYS担当までどうぞ。