防災グッズ市場のトレンドと売れ筋商品
はじめに
日本は地震や台風などの自然災害が多発する国であり、防災意識の高まりと共に、日常生活に必要な防災グッズが注目を集めています。2023年度もその流れは続き、特にECモールでは防災関連商品が多く取り扱われています。本記事では、株式会社Nintの調査を基に、最近の防災グッズ市場の動向を探ります。
防災商品の購入動向
Nintが3大ECモールの防災グッズ市場を調査した結果、消費者は非常用持ち出し袋やトイレ用品を新規に購入する傾向が強いことが分かりました。特に、地震報道など突発的な自然災害が発生すると、その影響が直後の売上に顕著に表れるのです。2023年の1月や3月に高い売上が見られたのは、連日の地震報道が影響したことが考えられます。
マーケットの変化
2023年の防災関連市場全体は、2022年と比べて約89.1%の推移をしました。この数字は2019年からの流れでも過去五年間の中で最も高い売上を記録した2022年との反動が表れた結果と捉えられます。とはいえ、トイレ用品や懐中電灯は需要があり前年を上回った商品も存在します。
特にトイレ用品は新たな需要を取り込むことができ、渋滞時や登山などのシーンでの利便性が消費者に評価されているようです。懐中電灯は非常時のみならず、普段使いとして家庭でも活用されており、日常の必需品として根付いてきています。
ECモール別の売上推移
三大ECモールにおける防災関連商品の売上はそれぞれ異なる推移を示しています。特にAモールとBモールでは2024年1月に記録された能登半島地震の影響で売上が急増しました。一方、Cモールでは2023年の3月が最も高い売上を記録しており、各モールの利用者層の違いが関連性を持つと考えられます。
南海トラフ地震と防災意識
2024年8月には南海トラフ地震に関する警戒情報が発表され、これが防災グッズの売上にどのように影響したかを追跡しました。警戒情報の発表後、8月9日には非常に高い売上を記録しました。この日は非常用持ち出し袋を筆頭に、トイレや非常食の売上も急上昇しました。
特に「地震」に対する備えと「台風」に対する備えでは購買行動が異なるため、非常用トイレの需要が高まりました。これは、災害による避難所の利用や断水などのリスクを踏まえた消費者の意識の表れと考えられます。
売れ筋商品と今後の展望
最新のデータによると、2024年1月の売れ筋は非常用持ち出し袋がトップで、続いてトイレ関連商品が続く展開です。特に以下の商品が新規需要を引き起こし、売上を牽引しています。
1. 防災セット(2人用)
2. 簡易トイレセットA(50+10回分)
3. 非常食セット(4人用/3日分)
今回の調査から分かるように、消費者の防災意識の高まりは今後も続くと見込まれ、新規需要と買い足し需要の両方を捉えた商品展開が期待されます。特に、時期ごとの地震報道や自然災害の発生に応じて攻める販売戦略が必要になります。
結論
現状の防災グッズ市場は、消費者のニーズによって大きく変動しています。今後も、社会の変化や災害の発生に応じた柔軟な商品展開が求められるでしょう。防災意識を高める中で、どのような商品が選ばれ、どのように供給されるか、今後の動向が注目されます。