三越伊勢丹、AIを駆使した新たな顧客サポートを実現
株式会社三越伊勢丹が、株式会社RightTouchが提供するWebサポートプラットフォーム「QANT Web」を導入しました。このシステムは、データとAIを活用して顧客の問い合わせを減少させることを目的としており、特にコンタクトセンターにおける対応コストの削減と顧客体験の向上を目指しています。
Webサポートプラットフォーム「QANT Web」の特徴
「QANT Web」は、顧客のWeb行動データを解析し、どの時点で困難が生じるかを特定します。その結果、顧客は自力で問題を解決しやすくなり、三越伊勢丹では最大でメールの問い合わせを80%も、電話の問い合わせを32%も削減することに成功しています。これにより、カスタマーサポートの体制が大幅に効率化されました。
導入の背景
百貨店業界では、ギフト購入に伴う複雑な手続きが多くなっています。顧客は商品購入後、意図した通りに購入が完了したかどうかを確かめるために問い合わせをすることが増加しています。しかし、三越伊勢丹では、オンラインでの高品質な接客が求められる中、顧客応対の質にばらつきが見られることが課題でした。そのため、同社は、ECサイトの業務のデジタル化を進める中で、よりきめ細かな顧客対応を実現する必要がありました。
自己解決促進のための具体的施策
具体的には、年末に注文が増える「おせち」に関する施策が注目されています。従来は特定の窓口をメールでのみ案内していたため、顧客が適切な問い合わせ先を見つけられず、不要な電話をかける事例が多く見られました。これを改善するため、オンラインストアのマイページに直接、配送注意事項や専用窓口の情報をポップアップで表示させました。この結果、問い合わせの大幅な削減に成功し、顧客評価も向上しました。
「QANT Web」導入による成果
三越伊勢丹による「QANT Web」の導入により、顧客の行動データが可視化され、社内で具体的なデータに基づいた議論や施策立案が可能になりました。ノーコードで施策の設定ができるため、コンタクトセンターのスタッフが主導で素早く対応策を実行できるようになっています。今後は、年間施策の計画を立て、さまざまな顧客ニーズに合わせた対応を進める予定です。
未来の顧客体験と三越伊勢丹の取り組み
「QANT Web」を利用して生み出される施策は、年間を通じての通年施策やお中元・お歳暮といった季節関連施策、さらに配送遅延などの突発的な問題への対応策を含む三つのカテゴリーに整理されます。これにより、組織全体で顧客の「困りごとを感動的に解決する」ことを目指してさらなるチューンアップを図ります。
株式会社三越伊勢丹のオンラインストアグループのマネージャーである葛和氏は、「QANT Web」によるパーソナライズの重要性を示し、今後もより良い顧客体験を提供していく意向を示しています。
最後に
この取り組みは、顧客サポートにおける新たな可能性を提示するものであり、今後、他の企業にも広がっていく可能性が高いでしょう。デジタル技術と人間の相互作用で進化するカスタマーサポートの在り方に、今後ますます注目が集まりそうです。