半導体製造の新材料
2025-07-08 11:27:19

半導体製造向け配管のPFASフリー化が進む!新材料の可能性とは

半導体製造向け配管のPFASフリー化が進む!新材料の可能性とは



近年、半導体産業の発展に伴い、製造工程における水質の重要性がますます高まっています。その中でも、環境問題への取り組みは避けて通れない課題です。特に、PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)と呼ばれる有機フッ素化合物の使用が問題視される中、栗田工業株式会社(以下「クリタ」)は、積水化学工業株式会社(以下「積水化学」)との協力のもと、超純水向けのPFASフリー化を進めています。

PFASとその影響



PFASは、その特性からさまざまな産業で使用されており、水や油を弾く性質や耐熱性、耐薬品性が評価されています。しかし、近年の研究ではPFASの一部が発がん性を示す可能性や、子どもの成長に影響を与えることが指摘されており、世界的に規制が強まっています。日本でも2026年度から特に有害とされるPFOAやPFOSに対して水質基準が設定される見通しです。

クリーンな未来を目指して



クリタグループは、このPFAS問題を受けて、事業領域におけるPFASの影響を多角的に分析し、解決策を模索しています。特に、PFASフリーの配管材を開発することは、環境への負担を軽減し、将来的な規制にも適合するための重要なステップです。

近年、先端半導体製造においては、無機物や有機物の溶出を極力抑えた配管資材が求められています。従来、使用されていたPVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂に代わる新たな材料の開発が急務となっていました。

積水化学との共同開発



そこで、クリタは積水化学と手を組み、PFASを含まない材質を用いた超純水用配管の開発に着手しました。特殊オレフィン樹脂を用いた配管材が新たに開発され、これを基にした試作品の検証が行われました。2022年11月からは、東京都昭島市にあるKurita Innovation Hub(KIH)での実験を通じて、溶出性や微粒子の発塵性、ガス透過性など 다양한評価項目において、PVDF配管に劣らない性能を確認しました。

実用化に向けての取り組み



今後は、さらなる実用化を目指し、複数のユーザー企業との連携を深め、超純水製造装置へのPFASフリー配管の導入を進めていく予定です。また、半導体製造のみならず、他のプラントや装置すべてのPFASフリー化に向けた取り組みも継続的に行う考えです。

クリタグループは、創立以来培った水に関する知見を生かし、環境問題の解決と持続可能な社会の実現に寄与し続けていく所存です。この新たな技術がもたらす未来が、よりクリーンで安全な環境へと繋がることを期待したいです。


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会社情報

会社名
栗田工業株式会社
住所
東京都中野区中野4丁目10番1号 中野セントラルパークイースト
電話番号
03-6743-5000

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