運動ニューロンの新発見
2024-09-04 11:40:40

慶應義塾と新潟大学が運動ニューロンの新たな鍵を発見

慶應義塾大学と新潟大学の共同研究



近年、神経系の疾患に関連する重要な発見が行われました。慶應義塾大学と新潟大学の共同研究チームが、運動ニューロンを特異的に制御する因子「Quaking5(Qki5)」を発見したのです。この研究は、新潟大学大学院医歯学総合研究科の矢野真人准教授と、慶應義塾大学の矢野佳芳特任講師、岡野栄之センター長が中心となって行われました。

Quaking5の発見



運動ニューロンが機能するメカニズムを深く理解するために、研究チームは特異的なRNA結合蛋白質に焦点を当てました。Qki5は、脊髄運動ニューロンに特異的に発現する唯一のRNA結合タンパク質であり、運動ニューロンの分子的な特性と細胞機能に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。特に、Qki5がどのようにRNAを制御し、ニューロンを保護するかのメカニズムが解明されました。

運動ニューロンの特殊性



運動ニューロン疾患は、選択的変性が起こる原因は解明されていませんが、これまでに様々なRNA結合蛋白質がその原因や病態として同定されてきました。しかし、運動ニューロンがなぜ特異的に変性するのかという本質的な疑問には、いまだ答えが出ていません。研究チームは、運動ニューロンにおいてQki5が発現して機能していることを示し、運動ニューロン特異的な選択的スプライシングの制御を行うことを明らかにしました。

新たな治療法の可能性



この研究の重要性は、Qki5が運動ニューロンに対して保護的な役割を果たし、ストレス応答に対する抑制的なメカニズムを持っているということにあります。この発見は、運動ニューロンの維持に関与する新しい分子経路を明らかにし、運動ニューロン疾患の病態解明や新たな治療法の開発に向けた希望をもたらしました。

本研究成果は、2024年9月3日に米国科学アカデミーが発行する学術誌「PNAS」に掲載され、世界中の科学者から関心が寄せられています。これにより、運動ニューロンに関連する疾患への理解が進むことが期待されます。

詳細な情報については、慶應義塾大学の公式プレスリリースをご覧ください。

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