福知山の伝統文化「丹波漆」を未来に繋ぐ挑戦者の物語
京都府福知山市で、消えゆく伝統文化「丹波漆」の再生に挑む漆掻き職人の山内耕祐さん。彼は1300年の歴史を持つこの技術の後継者として、地域の未来を担う役割を果たしています。本記事では、山内さんの挑戦の背景や、彼が目指す漆文化の再生について詳しく紹介します。
福知山の変とは?
「福知山の変」は、この地域で挑戦し、まちを変えていく“変化人”たちを応援するシティプロモーション企画です。クリエイターや市役所職員と共に挑戦や共創を進め、地域の魅力を発信しています。山内さんは、この企画の9人目の変化人として登場し、丹波漆を復活させるための努力が注目されています。
山内耕祐さんの挑戦
山内さんは、当初26年間後継者が不在だった丹波漆の技術を継承するため、2013年に福知山市夜久野地域へ移住しました。「価値のある仕事なら自分がやろう」と心に決め、漆掻き職人としての道を歩み始めました。彼は「人と自然の営みを漆でつなげたい」との思いを持ち続け、漆の魅力を伝える活動に奔走しています。
彼の取り組みは、国産漆の重要性が再認識された背景の中で行われています。2018年度から文化庁の方針で、国宝や重要文化財の保全・修理に国産漆が使われるようになり、丹波漆の価値が再評価されています。彼は、仕事の幅を広げ、ウルシの木を育てることでこの伝統工芸を支えています。
未来に向かう道
山内さんの目標は、丹波漆の生産量を現在の約8kgから60kgに増やし、ウルシの木の本数も1800本から3000本にすることです。これを実現するための新しい取り組みとして、「ウルシの植樹支援」プランが発表されました。このプランでは、寄附によって植えられたウルシの木が10年後に文化財修復に利用されるというユニークな体験が提供されています。
地域とのつながり
山内さんは漆掻きの技術だけでなく、地域の人々とも深く関わりを持ち、志を同じくする後継者の育成にも取り組んでいます。彼は「漆の文化を持続させるには、地域の方々に漆があって良かったと感じてもらうことが必要」と考えています。この思いをもとに、地域活性化を図る活動を進め、文化財としての漆の価値を広めていきたいとしています。
まとめ
福知山の変化人、山内耕祐さんは、丹波漆の再生に向けて情熱を注いでいます。彼の取り組みは、地域に根付いた職人技の復活だけでなく、環境保全や地域活性化をも見据えています。未来に向けて、地域の人たちと共に漆文化を育て、持続可能な手法で「丹波漆」の新しい章を切り開くために、山内さんの挑戦は続きます。