電動車の革新
2025-09-09 12:14:19

旭化成エレクトロニクスが電動車向けパワーモジュールの技術に成功

旭化成エレクトロニクスの新技術



旭化成エレクトロニクス株式会社が、日本国内で進めていた画期的な技術概念実証に成功しました。これは、電動車両向けのパワーモジュールに電流センサーを一体化するものです。この技術の導入により、次世代のSiCパワーデバイスを用いたトラクションインバータやDC/DCコンバータで、従来の磁性体コアを不要にすることが実現され、これまでの制約から解放された小型化と軽量化が期待されます。

背景



近年では、電動車(xEV)の需要が増加する中で、より効率的で軽量な駆動系のシステムが求められています。特に、広い電流レンジでの高分解能な電流センサーは重要な要素です。トラクションインバータが駆動する際の正確な電流検出は、低速から加速時までの様々な運転条件下で不可欠です。これまでは、コア付きの電流センサーが利用されていましたが、その構造上、小型化や設計の自由度に課題がありました。

そこで、旭化成エレクトロニクスが開発中のリニアホールIC「EZ-232L」は、高精度かつ高分解能を誇ります。このICはコアレス電流センサーとして活用され、効率的なインバータ制御を実現します。また、EZ-232Lの量産は2026年度を予定しており、期待が寄せられています。

実施した概念実証の詳細



旭化成エレクトロニクスは、欧州の研究機関であるSilicon Austria Labs GmbHとともに、EZ-232Lを使用した電流センサー一体型のパワーモジュールを試作しました。ここで、高精度の電流検出が可能であることが確認されました。今年の6月には、別の外部評価機関と協力して、トラクションインバータの模擬システムによるコアレス電流センシングの検証が行われました。その結果、従来のコアを用いた方式と同等の効率でインバータが作動することが明らかになりました。この成果は、コアレス化がトラクションインバータシステムの小型化と効率化に寄与する重要なブレークスルーです。

高塚俊徳部長のコメント



旭化成エレクトロニクスのM&Sセンターのソリューション開発第四部長である高塚俊徳氏は、「今回の二つの技術の実証により、次世代の電動車用パワーモジュールにおける電流センシングの新たな可能性が示された」と述べました。彼は、コアレス化の実現によって、従来の方式では困難だった小型化と設計の自由度が向上し、競争力のある電動車システムの開発に貢献することを強調しました。

この技術の進展は、電動車の未来において大きな影響を与えるでしょう。エコロジーとパフォーマンスを両立させるこの新しいパワーモジュールの登場が、私たちの移動手段のあり方を変えるきっかけとなることは間違いありません。


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会社情報

会社名
旭化成株式会社
住所
東京都千代田区有楽町1-1-2日比谷三井タワー
電話番号
03-6699-3000

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