デジタルコヒーレント光受信技術が紫綬褒章受賞 - 富士通の先駆的業績

富士通の星田剛司氏が紫綬褒章を受賞

令和7年春、富士通の星田剛司氏（54歳）が、光ファイバー通信の分野で顕著な業績を上げたとして紫綬褒章を授与されました。彼の発明したデジタルコヒーレント光受信技術は、これまでの通信技術に革新をもたらし、急速な大容量化と長距離伝送を実現しました。この受賞は、彼の技術的な貢献が広く認められたことを示す重要な出来事です。

高ひずみ耐性デジタルコヒーレント光受信器

本技術は、信号波形の補正に焦点を当てたものです。従来の光ファイバー通信では、受信した信号の波形にひずみが発生し、その補正が通信の質を左右してきました。星田氏の開発したデジタルコヒーレント受信器は、雑音に強く、また波長分散による信号のひずみをデジタル信号処理を通じて補償することができるため、従来の受信器に比べて高い性能を持っています。

課題解決と実用化の進展

高ひずみ耐性デジタルコヒーレント光受信器の特筆すべき点は、非線形効果や偏波モード分散に伴う信号波形のひずみに対応できる点です。これにより、複雑な信号波形を簡単に解析し、受信の安定性を向上させることができました。特に、摂動法を用いた近似解析により、この技術は他のデジタルコヒーレント受信器の限界を超えて、広範な伝送条件でも安定した動作を可能にしました。

国内外での活用

星田氏の技術は、富士通の光伝送システム「FLASHWAVE 9500」や最新の「1FINITYシリーズ」に搭載されており、既に多くの地域で使われています。これにより、毎秒100ギガビット以上の伝送を可能にし、特に「1FINITY T900」では毎秒1テラビットを超える通信速度を実現しています。これらの技術は、ICTサービスの基盤となり、世界中のデジタル通信の活性化を支えています。