理研が描く未来の科学—「Useless Prototyping Studio」の始動
国立研究開発法人、理化学研究所の数理創造プログラム(iTHEMS)が12月9日、心を揺さぶる新たなプロジェクト「Useless Prototyping Studio」を発表しました。このスタジオでは、一見役に立たないプロトタイプを通じて人々の想像力を刺激し、科学と社会の未来を探ります。新しいティザーサイトも公開され、プロジェクト概要や第1弾のテーマが紹介されています。
プロジェクトの理念
「Useless Prototyping Studio」は、役に立たないがゆえにこそ人々をインスパイアするプロトタイプを中心に据えています。このスタジオの目的は、基礎科学から生まれる理論や仮説に光を当て、それがどのように未来を変えるかを可視化することです。理研iTHEMSは、クリエイティブ・ブティック「SCHEMA」および「addict」と共同で活動を始めており、今後も様々なパートナーと協力しながら内容を充足させる予定です。
独自のプロトタイピング手法
このスタジオでは、「Useless Prototyping Method」と呼ばれる独自の手法を採用しています。これは、次の3つのステップで構成されています:
1.
仮説/Theory:科学者が未知への好奇心から導き出した理論を選定します。
2.
空想/Imagination:その理論が未来をどう変えるかを空想します。
3.
具現/Prototyping:空想した未来の一つの可能性を具現化します。
この手法は「無意味」に見えるプロトタイプから新たなインスピレーションを引き出すことを目的としています。科学の研究が単に役に立つことを目的としないものであることを再認識させられます。
第1弾プロジェクトのテーマ
第1弾のテーマは「ブラックホールは未来の大容量情報ストレージ?」という非常に興味深いもので、蒸発するブラックホールの内部にどのように情報が蓄えられるのかを探求します。このテーマは、理化学研究所が2020年に発表した論文に基づいており、その内容は非常に話題性が高く、多くの注目を集めました。
なぜ「無意味なプロトタイプ」か?
理研のこの新しい取り組みは、アインシュタインの相対性理論を例に挙げて、その発表当初は役に立つのか不明だったが、現在はGPS補正に利用されていることを強調しています。科学者の好奇心が未来の技術に繋がる可能性を示すため、このプロジェクトがスタートしました。「役に立たない」とされるものが実は未来を切り開くカギとなるかもしれません。
プロジェクトの展望
「Useless Prototyping Studio」は、好奇心に基づいた研究の重要性を再確認させる試みです。今後も新たなプロトタイプが発表される中で、科学が持つ無限の可能性に期待が膨らみます。理研iTHEMSの活動が、科学と社会の新しい関係を構築することに寄与することを願っています。詳細な情報はティザーサイト(
Useless Prototyping Studio)をチェックしてください。