中国における新たな介護用品販売事業の開始
介護用品のレンタルや販売を手掛ける株式会社ヤマシタと、国内卸売大手の株式会社ウェルファンが手を組み、中国市場に新たな展開を見せます。両社は合弁会社「山下為楽帆(上海)実業発展有限公司」を設立することを発表し、2025年10月中には事業をスタートさせる予定です。日本での長年の経験と、ウェルファンの広範なネットワークを結集し、中国における日本製介護用品の普及を図ります。
急増する中国の高齢者人口に対応
中国では、1979年からの「一人っ子政策」による影響が長期的に及ぶ中、高齢化が急速に進展しています。2022年時点で65歳以上の高齢者が人口の約15%を占め、特に上海市ではその割合が28%を超えています。こうした背景の中で、中国政府は介護用品の購入やレンタルに対する支援を国家戦略として位置付け、各地でさまざまな優遇政策を打ち出しています。結果として、介護用品及び高齢者向け食品市場は急速に拡大し、2025年には1.8兆元に達すると予測されています。これは、日本円に換算すると約36兆円に相当します。
合弁会社設立の背景
ヤマシタは40年以上にわたり、日本において介護用品のレンタル・販売のノウハウを蓄積してきました。2020年には中国市場への参入を試み、介護用住宅改修事業や福祉用具レンタル制度の試験を行うなど、多面的なアプローチで事業基盤を確立しました。一方、ウェルファンは1982年に高齢者向け肌着の製造から始まり、現在では介護用品の国内最大手として広い商品ラインを展開しています。
新たに設立される会社は、双方の強みを組み合わせることで、中国市場における介護商品を効率的に配信し、日本のメーカーの製品を広く普及させることを目指します。
具体的な事業展開について
2025年6月には、上海で開催される「CHINA AID 2025」に出展する予定で、初期の商品ラインとしては介護シューズ、杖、歩行器を中心に据えています。これらの製品は、介護施設や医療機関、さらにモール型のECサイトを通じて販売される予定です。加えて、各地域の代理店を通じても広く商品を流通させる計画があります。当初は介護用品の提供に集中し、段階的に品目を増やしつつ2030年までに売上高30億円を目指します。
この新しいビジネスモデルは、ヤマシタの持つサービス知見とウェルファンの流通ネットワークに基づいて構築されています。このアプローチにより、ユーザーにとってより良いサービスを提供できると考えています。
新会社の概要
- - 名称: 山下為楽帆(上海)実業発展有限公司(仮称)
- - 所在地: 上海市普陀区(予定)
- - 代表者: 董事長 永井新
- - 事業内容: 介護用品、リハビリ機器及び関連製品の販売
- - 合弁事業開始予定: 2025年10月
- - 出資比率: ヤマシタ51%、ウェルファン49%
企業について
株式会社ヤマシタ
- - 設立: 1963年3月6日
- - 代表者: 代表取締役社長 山下和洋
- - 事業内容: 福祉用具レンタル・販売
- - 売上高: 336.6億円(2025年3月期)
- - URL: ヤマシタ コーポレートサイト
株式会社ウェルファン
- - 設立: 1982年5月
- - 代表者: 代表取締役社長 清水義生
- - 事業内容: 高齢者生活関連用品・福祉用具等の卸売業
- - URL: ウェルファン コーポレートサイト
この新たな試みは、急成長する中国市場での介護サービス提供の質を向上させ、双方の企業へのさらなる成長を期待させるものです。