一人暮らしと防災意識:賃貸物件選びの現状
9月1日は防災の日。株式会社CHINTAIが実施した調査から、賃貸住宅に居住する一人暮らしの防災意識がどのようになっているのか、明らかにされました。
調査の背景
日本は自然災害が頻発する国であり、地震や台風、豪雨など多様なリスクにさらされています。最近では、南海トラフ巨大地震による被害想定が発表され、最大29万人の死者や292兆円の経済被害が見込まれるなど、非常事態の可能性が高まっています。また、2025年夏には南九州で大規模な豪雨が発生し、多くの避難が行われました。これらの事例からも、防災についての意識と対策が非常に重要であると感じます。
調査結果の概要
今回の調査では、賃貸物件で一人暮らしをしている20代から40代の男女400名を対象にしました。結果として、約66%の人々が物件選びの際に防災を意識していないことがわかりました。この傾向は、物件選びの際に防災の観点が優先されるべきである中、実態は逆転していることを示しています。
防災を意識した物件選び
防災に関する意識として、重視されたポイントは以下の通りです。
- - 建物構造(耐震・免震・制震): 34.6%
- - ハザードマップの確認: 33.8%
- - 新耐震基準の確認: 24.8%
この結果から、高層マンションや新築物件に人気が集まる理由も納得できますが「なんとなく安全そう」といった印象に基づく選択をする人も一定数いるようです。
引越し後の防災意識の変化
約27%の人々が引越しを機に防災意識が高まったと回答した一方で、約半数は「変わらない」または「以前より意識が薄れた」と報告しています。この結果は、居住環境が変わったからといって、必ずしも防災に対する意識が高まるわけではないということを示しています。
防災グッズの備蓄状況
現在、自宅に備えている防災グッズについて調査したところ、飲料水や非常食、懐中電灯、モバイルバッテリーが多く備えられているものの、36.5%の人々が何も準備していないことが判明しました。特に男性の未備蓄状況が目立つ一方、女性は生活面の安全性を意識した備えをしている割合が高いことも確認されました。具体的には、飲料水や非常食の備蓄率は共に30%を超えていますが、一部人々の生活から防災意識が欠けていることも浮き彫りとなっています。
総括
調査結果から見えるのは、日本の賃貸物件において、一人暮らしの人々の防災意識が依然として脆弱であるという現実です。物件を選ぶ際に防災を考慮した人は、わずか3人に1人という結果から、家賃や立地、間取りなどの条件が優先視されていることが伺えます。また、日常の備えも不足していることから、賃貸での一人暮らしをしている人々への防災意識の啓発がこれからますます重要であることを示しています。引越しを機に意識を高めることが期待されていても、多くの人々がその意識転換を行えていないのが現状です。
このような結果から、日常の生活の中で防災をもっと意識し、準備を進める必要性が求められています。特に賃貸物件に住む一人暮らしの方々には、自分の身を守るために、まずは身近な場所から防災対策を始めてみることが強く推奨されます。