背景と目的
東京都中央区に拠点を置く一般社団法人 公衆衛生地域振興協会は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化に関する研究を進めており、特に次亜塩素酸水の有効性に注目しています。本協会は、飲食業界などでの活用が期待される次亜塩素酸水の効果を検証するために、株式会社食環境衛生研究所に試験を委託しました。
実験の内容と結果
今回の実験では、豚流行性下痢ウイルス(PEDV)を代替ウイルスとして用い、有効塩素濃度20ppmの次亜塩素酸水を使用しました。実験の結果、有効塩素濃度20ppmの次亜塩素酸水により、PEDVウイルスの力価が30秒の感作後に99.9%減少したことが確認されました。
実験手法
1.
試薬の準備
使用した次亜塩素酸水は「CORETECT」で、pH6.2のものでした。塩素濃度は20ppm、50ppm、100ppmの3段階で実施し、実験はいずれも2020年6月15日から20日間にわたり行われました。
2.
ウイルス力価検出法
PEDVに対するウイルス不活化試験には、明確な結果が得られる「TCID50法」を用いました。この方法は国立感染症研究所などでも採用されています。
3.
細胞毒性試験
Vero細胞に対する次亜塩素酸水の細胞毒性を確認するために、各濃度での細胞の形態異常の有無を観察しました。結果は各濃度で細胞形態の異常は認められず、安全性が確保されました。
4.
ウイルス不活化の評価
各濃度の次亜塩素酸水にPEDVを添加し、感作時間に応じてウイルス力価を測定しました。
評価結果
- - 20ppm次亜塩素酸水の使用による試験液では、初期ウイルス量から、30秒及び1分の感作時間後にそれぞれ約199万個から200個まで減少しました。
- - 3分、5分の感作では、ウイルス量は定量限界以下の32個に達しました。
- - また、50ppmと100ppmの濃度では、感作時間30秒でウイルス量はすでに定量限界以下でした。
このように次亜塩素酸水は、特に低濃度でありながら高いウイルス不活化効果を示しました。
結論
今回の検証により、次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに対しても非常に高い不活化効果を持つことが明らかとなりました。これにより、公共の場や飲食業界などでの感染対策としての使用が期待されます。公衆衛生地域振興協会は、今後も次亜塩素酸水の利用促進とともに、安全安心な環境作りに貢献していく所存です。
参考リンク