米中デカップリングでも貿易は過去最高水準に成長する理由とは
2026年3月10日、ボン、ハノイ、ニューヨークからのニュースです。DHLとニューヨーク大学スターンビジネススクールが共同で発表した「DHLグローバル・コネクテッドネス・レポート2026」は、近年の地政学的緊張と米国の関税引き上げにもかかわらず、国境を越えた経済活動が逆に拡大していることを明らかにしました。この報告書によれば、2025年のグローバル化指数は驚異的な25%となり、過去最高を記録しています。
米中関係の変化とその影響
米中間の経済関係は確かに悪化しています。例えば、米中貿易の世界貿易に占める割合は、2015年の3.6%から2025年までに2.0%へと減少しています。しかし、世界経済全体には限定的な影響で済んでいるといえるのが実情です。その背景には、AI関連商品への投資の急速な拡大があります。実際、2025年の物品貿易の伸びの42%がAI関連商品によって支えられています。
また、貿易品の平均輸送距離も5,010kmという驚異的な長さを記録し、企業がいかにして世界的なサプライチェーンを維持しているかを示すデータとなっています。
国際的なネットワークの重要性
DHL ExpressのCEOであるジョン・ピアソン氏は「国際的なネットワークを活用することが、企業や国家にとっての新たな機会を生み出している」と述べています。こうした国境を越えた協力により、貧困や気候変動などの課題に対する解決策も模索されるべきです。
このレポートは、貿易・資本・情報・人の流れについての900万件以上のデータを分析したもので、世界180カ国の状況を詳細に測定しています。これにより、企業がどのようにして国際的な市場へと進出しているのかが明らかになります。
政策の影響と今後の見通し
世界商品貿易は、2029年まで年平均2.6%の成長が見込まれています。この成長率は、過去10年間の平均成長率にほぼ等しいです。米国の関税政策の影響が限定的である点については、重要ポイントです。すなわち、世界貿易の大半は米国以外の国同士の取引によって行われているからです。
貿易構造の変化と地域化の影響
「地域化が進む」という予想がある中、実際のデータは異なる結果を示しています。2025年の貿易品の平均輸送距離や海外新規投資プロジェクトの平均距離がいずれも過去最長となっており、企業が依然としてグローバルな取引を行っていることが分かります。
また、国境を越えたフローの中で、人の移動や情報の流れについても分析を行い、特に海外旅行や留学、移住といった面で過去最高の数値が記録されていることは大きな驚きです。
ランキングによる地域の動向
国ごとのランキングでは、シンガポール、ルクセンブルク、オランダが上位を占め、地域別に見れば欧州がリードしています。その他の地域も順調にグローバル化が進行しています。
この「DHLグローバル・コネクテッドネス・レポート」は、国際貿易の流れを詳細に示す重要なツールです。2026年版の調査により、世界の99.6%のGDPと99.0%の人口をカバーしており、その内容は企業戦略や政策形成においても大いに参考にされるでしょう。
今後もこの動向がどのように発展するか、注意深く見守っていく必要があります。