文化の日消滅危機!増加するミュージアム閉館
近年の物価高と新型コロナウイルスの影響で、全国各地のミュージアムが厳しい状況に追い込まれています。特に、博物館や美術館、動物園などが立ち行かなくなり、閉館する事例が急増。一般社団法人「路上博物館」の調査によれば、2023年には21件のミュージアムが閉館し、その数は前年の約2倍に達しました。2024年9月時点でも、すでに14件が閉館するという危機的な状況にあります。
「サイレント閉館」の実態とは
「サイレント閉館」と呼ばれるこの現象は、一般の報道にほとんど取り上げられず、静かに進行していることが問題視されています。「路上博物館」の調査によると、2018年から2022年までの間、平均して年約9.4件の閉館があったものの、2023年は22件と急増しました。この結果からも、報道された閉館件数のみならず、報道されずに閉館したミュージアムも多いと推測されていますので、実態はさらに深刻です。
閉館するミュージアムの1館あたりが持つ資料点数は平均32,000点。それをもとに計算すると、2023年に閉館した22件の施設からは、約70万点の貴重な資料が失われたことになります。この現象は、今生きる私たちだけの問題ではなく、未来の世代にとっても無視できない課題です。
森健人館長の見解
路上博物館の館長である森健人氏は、「博物館は社会において重要な役割を果たしており、貴重な資料が散逸してしまうのは大きな損失です」と述べています。「必要とされていないから閉館するのではなく、重要な資料が蓄積されている施設を無駄に失うのは、未来に対しても不幸な結果を招く」とも警鐘を鳴らしています。
また、個別のミュージアムがどのように閉館を避けるかという点に関しても、単なる点の取り組みでは不十分であり、社会全体での仕組みが必要だと強調しています。
未来への取り組み
「路上博物館」は、今後さらなる実態調査を進め、閉館原因や施設ジャンル、地理的な分布を分析し、閉館を防ぐための取り組みを行います。また、資料のデジタル化を進め、国会図書館へのデータ提供も計画しています。
クラウドファンディングの実施
この活動資金を集めるため、2024年11月中旬からクラウドファンディングを実施予定です。寄付金を活用して調査とデジタル化の活動を進め、その成果を2025年夏に報告します。
結論
文化の日が祝われる中で、私たちはミュージアムの価値を再認識し、未来のために何ができるのかを考え続ける必要があります。ミュージアムの閉館が進む今、この問題を他人事として捉えず、一人一人が関心を持つことが求められています。私たちが文化の灯を守るため、行動を起こす時が来ています。