新たなバイオテクノロジーの可能性
2024年8月6日、カリフォルニア州サウスサンフランシスコと東京において、Twist Bioscience Corporation(NASDAQ: TWST)とbitBiome, Inc.が戦略的提携を発表し、その一環として新たなトランスアミナーゼ酵素スクリーニングキットを発表しました。このキットは48種類の多様なトランスアミナーゼ酵素を収めており、研究開発における触媒スクリーニングや評価に役立つものです。
トランスアミナーゼ酵素とは?
トランスアミナーゼ酵素は、アミン供与体からアミン基を転移させる化学反応を触媒する酵素です。最近、医薬品の開発において、特にキラルアミンと呼ばれる重要な構成要素の合成において、その需要が高まっています。従来の合成法に比べ、より環境に優しい代替手段として期待されるトランスアミナーゼの役割はますます重要になっています。
革新的なコラボレーション
Twist社の先進的な大容量合成技術と、bitBiome社の20億もの微生物配列を含むユニークなデータベース「bit-GEM」を組み合わせることで、オリジナリティ溢れるスクリーニングキットが誕生しました。このキットは、研究機関や製薬企業が生体触媒プロセス用に最適化された酵素を迅速に導入できる仕組みを提供します。特に、医薬品有効成分(API)の製造に最適な選択肢となるでしょう。
専門家の見解
bitBiome社のCEOである鈴木悠司氏は、「この新しいスクリーニングキットを通じて、我々のデータベースにある膨大な有用配列をさらに広められることを嬉しく思います。Twist社との共同作業は、我々の技術を生体触媒コミュニティ及びバイオものづくりの分野において革新をもたらすものと確信しています」と述べています。
一方、Twist Bioscience社のCEO、Emily Leproust博士は、「我々は、bitBiome社のデータベースを駆使し、医薬品に最適な酵素を同定し合成することで新たなアプローチを提供します。顧客には新規の酵素やタンパク質分子を迅速に提供し、ライフサイエンス分野での進展を図ります」と語っています。
未来への展望
bitBiome社は、地球上の微生物の可能性を引き出すことを目指し、微生物ゲノムデータベースや酵素改変プラットフォームを展開。ひとつのプラットフォームである「bit-QED」を通じて、医療や循環型社会への貢献も期待されており、従来の技術に挑む姿勢を明確にしています。さらに、世界最大規模の微生物データベース「bit-GEM」は、合成生物学や医療イノベーションにおける新たな可能性を切り拓くかもしれません。
Twist社は、合成DNA技術を用いて、さまざまな産業に向けた製品を展開しており、革新的な手法を用いたDNA合成において業界の先頭を走っています。このたびの提携は、バイオエコノミーや医薬品 開発において新たな局面を迎えることを示唆しています。
このように、bitBiomeとTwist社の提携により、持続可能で革新的なバイオテクノロジーの未来が開かれることが期待されます。今後、両社が生み出す新しい技術やサービスに目が離せません。