奈良祐希と奥山コレクション展
2023-11-23 18:00:01

若き建築家・陶芸家、奈良祐希の処女作「Node Kanazawa」が話題!AACA芦原義信賞受賞の軌跡と、奥山純一氏コレクション展も開催

若き建築家・陶芸家の挑戦:AACA芦原義信賞受賞と処女作「Node Kanazawa」



1989年生まれの奈良祐希氏は、茶陶の名家「大樋焼」の次期当主でありながら、建築家としても卓越した才能を発揮する異色の存在です。東京藝術大学大学院建築科を首席で卒業後、北川原温氏に師事。2021年には自身の会社「EARTHEN」を設立し、建築家としての道を歩み始めました。

そして、彼の建築家としての処女作にして代表作と言えるのが、石川県金沢市問屋町に建つ複合施設「Node Kanazawa」です。株式会社家元の本社機能を備え、カフェレストランやギャラリーも併設するこの建物は、単なる商業施設にとどまりません。

設計においては、金沢問屋センターとの綿密な議論を重ね、「緑化」や「自然風」といった自然エネルギーの積極的な活用、そしてヒートアイランド現象の緩和を目的とした「緑のミチ」の設置など、地域環境への配慮が徹底されています。建物を貫くこの緑道は、地域住民にとって憩いの場となるパブリックスペースとしての役割も担います。

デザイン面においては、地域に古くから伝わる武家屋敷の土塀を思わせる土壁ファサードや、問屋町独特の「キャンチレバー」や「渡り廊下」を現代的に再解釈した要素が取り入れられています。さらに、石川県産の「戸室石」「能登ヒバ」「大樋土」といった地元の自然素材をふんだんに使用することで、地域との調和を図っています。

「Node Kanazawa」は、単なる建物ではなく、地域社会に貢献し、歴史と伝統を現代に繋ぐ拠点となっています。そのオリジナリティ溢れる建築デザインは、既に奈良祐希氏のシグネチャースタイルとして高く評価されています。

そして2023年、奈良氏は第33回AACA賞にて、史上最年少で芦原義信賞(新人賞)を受賞するという快挙を成し遂げました。AACA賞は、建築、美術、工芸など様々な分野における優れた文化的環境や芸術的景観を創造した個人や団体を表彰する権威ある賞です。この受賞は、彼の才能と、地域に根ざした建築への情熱が広く認められた証と言えるでしょう。

奥山純一氏のコレクション展:「人生そのものは芸術だ」



「Node Kanazawa」のギャラリーでは、現在、奥山純一氏によるアートコレクション展が開催されています。奥山氏はヴィスト株式会社会長、株式会社KXホールディングス取締役CCOを務める実業家でありながら、現代アートコレクターとしての顔も持ちます。

彼の収集活動は、パンデミック中にニューヨークのメトロポリタン美術館で購入したシルクスクリーン作品がきっかけでした。その後、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館を訪れた経験が、コレクションに対する彼の考え方を大きく変えたと言います。

奥山氏は「Life itself is an art(人生そのものは芸術だ)」という言葉に共感し、人それぞれが自分自身という芸術作品を創造していく存在だと考えています。今回のコレクション展では、三島喜美代氏、平子雄一氏、そして奈良祐希氏など、過去と未来を繋ぐ「今」に挑戦するアーティストの作品が選りすぐって展示されています。

「Node Kanazawa」のギャラリー空間自体も、奈良祐希氏による建築作品であり、左官仕上げの壁には手取川の砂利や大樋土が混ぜ込まれています。地域に根ざした素材を活かしたこの空間は、展示作品との相乗効果を生み出し、来場者に深い感銘を与えます。

東京藝術大学名誉教授の秋元雄史氏も、このコレクション展について、「現代アートが活況を呈するためには、コレクターの存在が不可欠」と高く評価しています。奥山氏の活動は、金沢における現代アートシーンの活性化に大きく貢献するものと言えるでしょう。

結びに



奈良祐希氏の才能と情熱、そして奥山純一氏のコレクション展を通して、金沢という街が現代アートの新たな発信拠点として注目を集めていることを感じさせられます。今後、この地からどのような文化的な潮流が生まれるのか、目が離せません。

会社情報

会社名
株式会社EARTHEN
住所
石川県金沢市橋場町2-17
電話番号
076-221-2397

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