富士電機と金沢工業大学が国際会議で栄誉を受ける
2026年8月23日から28日にかけてフランス・パリで開催された国際大電力システム会議「CIGRE Paris Session 2026」において、富士電機株式会社と金沢工業大学の共同研究チームが、AI時代の電力需要に対応する環境配慮型の絶縁技術を開発し、Best Paper賞を受賞しました。受賞した論文は、「FGM絶縁スペーサと絶縁コーティング導体の組み合わせによるドライエアGISのガス圧力およびタンク径増大の抑制」と題され、次世代電力機器の実現に向けた研究が高く評価されました。
受賞論文の内容
受賞の論文では、温室効果ガス「SF₆」を使用せず、ドライエアを絶縁媒体として利用する技術が紹介されています。SF₆は、電力設備で高い絶縁性能を持ちつつ、地球温暖化への影響が大きいため、代替技術の開発が求められていました。この研究では、電界を最適に制御する「FGM(傾斜機能材料)絶縁スペーサ)」と、高電圧導体表面を保護する絶縁コーティング技術を組み合わせ、新たな絶縁技術を生み出しました。
この技術により、従来のSF₆を使用した構造と比べて、絶縁性能が最大で28%向上することが確認され、必要なドライエア圧力も大幅に低下できることが示されました。これにより、施設の大型化を抑えつつ、電力インフラの脱炭素化が可能となることが期待されています。
技術の重要性
近年、AIの普及に伴う電力需要の急増が問題視される中、変電設備で使用される絶縁ガスとしてSF₆の削減がホットな課題となっています。SF₆は、温暖化係数がCO₂の約24,000倍にも及ぶため、環境負荷の低い代替材の開発が不可欠です。この技術の開発は、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の普及の中で、持続可能な電力インフラの実現に寄与するものです。
研究の成果
具体的な研究成果としては、245kV級の実機サイズのガス絶縁設備において、従来の技術では1.25MPa以上のドライエア圧力が必要であったのに対し、FGM絶縁スペーサと絶縁コーティング導体の組み合わせにより、約0.75MPaまで圧力を低減できました。また、設備サイズも従来の約1.93倍から1.23倍に抑制することができました。これにより、脱SF₆化の実現が期待されるだけでなく、将来的な電力設備の効率化も見込まれています。
共同研究の意義
受賞を受け、大澤直樹教授は「この研究は電力インフラの脱炭素化に向けた重要な技術開発であり、受賞は富士電機との共同研究が国際的に評価された証です」とコメントしています。今後も社会実装に向けての研究が推進されることが期待されます。
CIGRE Paris Sessionの重要性
CIGRE(Conseil International des Grands Réseaux Électriques)は、電力・エネルギーシステム分野における国際的な組織で、2年ごとに開催される「CIGRE Paris Session」には、各国の専門家が集まり、最新の研究成果が発表されます。今回の受賞は、国際的な舞台での研究成果が高く評価されたことを示しています。
このように、富士電機と金沢工業大学の共同研究は、脱炭素社会に向けた技術革新の先駆けとして、多くの期待が寄せられています。