札幌市が挑む旅費事務の新しい未来
札幌市は、生成AIの導入を通じて行政内部の効率化を図ろうと取り組んでいます。特に、職員による生成AIの活用がまだ十分でないという課題に直面しており、この度、旅費事務を対象としたAI関連のプロジェクトに向けた提案を募集中です。
背景と現状
札幌市では2023年度に生成AI利用ガイドラインを制定し、全職員が使えるチャット型生成AI環境を整備しました。しかし、実際にはその活用が資料の要約や誤字チェックといった個人作業に留まり、組織内での展開には至っていないという課題を抱えています。
今回は、旅費事務を利用した生成AIの実証実験が行われ、これを通じて行政の業務効率や高度化を目指しています。旅費事務では、出張行程の経路決定、旅費の計算、チケットの購入など、さまざまな手続きが必要で、多くの部門が手間を感じているのが実情です。
旅費事務の具体的な課題
旅費に関する手続きには、出張の行程表を作成する必要があり、特に公費支出に関する厳しい基準の理解不足が最も大きな障壁です。出張命令書の決裁を得るには、旅行者が行程表を作成し、宿泊先や経路に関する比較資料を用意しなければならず、これが大きな事務負担となっています。
また、庶務経理担当者は出張命令書を確認する際にも、多数の資料を突合せなければならず、これもまた作業の手間を増大させています。こうした煩雑さと、年に数回しか出張する機会がない部署が多いため、旅費制度やシステムの理解が難しい点も問題です。
実現したい未来
札幌市が目指すのは、AIエージェントが出張条件をもとに旅費の計算からチケット予約までを全自動で行える環境です。初期段階では、外部サービスと連携した行程案の提案を実現し、少しずつ業務の効率化を図りたいと考えています。
これは職員の業務にとっても大きな助けになると期待されるのです。自動化が進むことで、事務作業の時間を削減し、職員が本来の業務に集中できる環境を整えることが目標です。
提案の募集について
札幌市では、旅費事務に特化した生成AI及びAIエージェント活用事業の提案を募集しています。このプロジェクトは市の官民連携窓口であるSAPPORO CO-CREATION GATEにてテーマ型での提案を受け付けており、詳細は公式ページにて確認することが可能です。
担当部署
行政DX推進室がこのプロジェクトを管轄しており、興味のある方は以下の連絡先にて問い合わせが可能です。
この新たな取り組みが札幌市の行政事務におけるAI活用の道を切り開き、未来の効率的な業務ストラクチャーを築く一助となることを期待しています。