九州大学と共同開発された生き物の3Dデジタル図鑑の発表
2023年9月25日、公益財団法人WWFジャパン(東京)と国立大学法人九州大学は、共同研究の成果として「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」を発表しました。この図鑑は、佐賀県佐賀市東与賀地域に生息する水生生物を紹介するウェブサイトで、さまざまなメディア形式(画像、3Dモデル、動画、音声)を通じて情報を提供しています。ウェブサイトは
こちらからアクセスできます。
東与賀地域の生物多様性の重要性
東与賀町は、古くから干拓地として知られており、その独特な水路網には多種多様な淡水生物が生息しています。特に、ラムサール条約に登録されている東よか干潟は、ムツゴロウやシオマネキなど、貴重な生態系を形成しており、その生物多様性は世界的にも注目されています。しかし、過去50年で生物多様性は劇的に減少しており、特に淡水生態系の生物は83%も減少しているとの調査結果も報告されています。
WWFジャパンでは、地域の人々が自然の価値を理解し、保護活動を進めることを目的に、この図鑑を制作しました。図鑑には、東よか干潟に生息するムツゴロウをはじめとする生き物17種、水田や水路に集中するニッポンバラタナゴなど35種の魚類や両生類を含む全52種が掲載されています。特に、3Dモデルを使った観察は、ユーザーが自由な角度から生き物を観察できるため、より深い理解を促進します。
地域保全のための図鑑
WWFジャパンの自然保護室淡水グループの久保優オフィサーは、「地域の皆さんが自分の住む場所にどんな生き物がいるのかを知ることが、自然保護の第一歩です」と語ります。図鑑を通して、多くの地域住民が東与賀の素晴らしい自然を知り、保全の重要性を理解することを願っています。
さらに、九州大学大学院工学研究院の鹿野雄一特任准教授は、「有明海周辺は生物の宝庫ですが、その多様性は激減しています。地域の方々が生物に興味を持ち、愛することが、保護活動につながる」と述べています。
生物多様性の未来のために
九州大学とWWFジャパンは、今後もこの地域の生物多様性を守る取り組みを続けていきます。特に、農業と生物多様性の共生に向けた新たなプロジェクトも進行中であり、地域資源の保護が重要視されています。
最後に
この「東よか水辺の生き物マルチメディア図鑑」は、地域の自然環境や生物の理解を深めるための重要なツールです。ウェブサイトを訪れることで、貴重な淡水生物の情報を学び、彼らを守る活動に貢献する第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。