アース製薬と大阪大学が開発したバイオメタノール合成法

アース製薬と大阪大学が開発したバイオメタノール合成法



環境問題が深刻化する中、私たちが向き合うべき課題は温室効果ガスの削減です。このような背景の中、アース製薬株式会社と大阪大学が共同で進めている革新的な技術が注目を集めています。バイオガスから高い変換率でバイオメタノールを合成する新しい方法が開発され、地球環境への配慮が求められる現代において大きな一歩を踏み出しました。

MA-T®とは?


この技術の核心にあるのが、アース製薬が開発した酸化制御技術「MA-T®」です。この技術は、感染制御や医療、新薬開発、食品衛生、農業、エネルギーといった幅広い分野での社会実装を目指しています。MA-T®は、特に環境負荷の低減に寄与する技術として評価されています。

大阪大学と大和ハウス工業の共同研究


大阪大学の大久保敬教授が中心となる研究グループは、大和ハウス工業と連携し、常温・常圧下でバイオガスに含まれるメタンガスからメタノールを合成する方法を開発しました。この技術は特に驚くべき成果を上げており、投入したメタンの89%をメタノールに変換することができるのです。

非化石由来のバイオガスの利用


この方法の大きな特長は、食品残さや家畜のふん尿など、非化石由来のバイオガスからもメタノール合成が可能な点です。これにより、従来のメタノール合成に用いられてきた天然ガス等に依存しない脱炭素化技術が期待されます。

メタノール合成の歴史


メタノールは主に天然ガスを原料とする高圧・高温での合成反応から製造されていますが、ほぼ全量を輸入に頼っています。これにより為替や国際状況に大きく影響されるため、国産化が急務でした。2017年には大阪大学で初めて常温・常圧でメタンからメタノールを合成することに成功し、その後の研究も続けられ、近年ではメタノールへの変換率が大幅に向上しました。

期待される社会的効果


この技術によって製造装置の小型化が実現されることが期待されており、変換効率の向上により、バイオメタノールを合成するために必要な製造装置のサイズを従来の6分の1に縮小可能とされています。このことは小型分散型の製造装置を通じてバイオガスの活用を促進し、温室効果ガスの削減に貢献することでしょう。

MA-T工業会の役割


一般社団法人日本MA-T工業会は、MA-T®の普及を目指して設立された団体であり、115の企業や団体が加盟しています。この工業会は、アース製薬や大阪大学と共に、内閣府が主催するオープンイノベーション大賞で最高賞を受賞するなど、その取り組みは高く評価されています。

今後の展望


2025年4月から開催される大阪・関西万博では、この技術に関する展示も行われる予定です。これにより、MA-T®の認知度と価値がさらに高まることでしょう。

環境問題への関心が高まる現在、アース製薬と大阪大学によるこの研究が、未来の持続可能なエネルギー市場に大きな影響を与えることは間違いありません。

会社情報

会社名
アース製薬株式会社
住所
東京都千代田区神田司町二丁目12番地1
電話番号
03-5207-7451

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