Craifが発表する新型スクリーニングツール
Craif株式会社は、2025年に開催されるCure SMAのイベントにおいて、名古屋大学の神経内科研究者らと共に開発した脊髄性筋萎縮症(SMA)および重症複合免疫不全症(SCID)を迅速にスクリーニングするための新しい検査ツールを発表しました。この技術革新は、新生児患者に早期診断と治療を提供する可能性を秘めています。
画期的な検査法
これまで、SMAのスクリーニング検査には新生児誕生後1〜2週間を要していましたが、Craifが開発した新型スクリーニングツールでは、だ液を用いてわずか1.5時間以内に結果が得られます。これにより、より迅速な治療が可能となり、病気の進行を防ぐ手助けとなります。
大規模な前向き試験も実施され、全国の産科医療機関で新生児1,000例を対象に検査した結果、従来の確定診断検査と一致する結果が得られました。このことからも、新型ツールの信頼性の高さが確認されました。
SMA/SCID同時スクリーニングの実現
Craifは、SMAのスクリーニングに加え、SCIDの検査も統合したシステムを開発しました。これにより、新生児の健康状態を一度の検査で同時に把握することが可能に。新しいアッセイ技術が、医療現場における新生児スクリーニングを一層効率化します。
SMAとは?
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、通常、運動神経が先天的に障害されることで発症する難治性疾患です。近年では、運動機能の向上や生命予後の改善が期待される治療法が開発されていますが、発症後に治療を始めてもその効果は限られています。そのため、無症候性の段階で早期に発見し介入することが重要視されています。
Craifが開発した新型スクリーニングツールは、産科医療機関でも使用できるように設計されており、協力いただける医療機関と連携することで、社会実装に向けた検討が進められています。
コンパクトで簡便なスクリーニング
本ツールは特別な検査装置を用いることなく、出生後すぐにでも検査が行える点が大きな魅力です。幼い赤ちゃんに対する医療提供がより身近に、そして迅速に行えるようになることは、多くの家族にとって救いとなるでしょう。今後、このスクリーニングキットに関する前向き試験も計画されており、その成果に期待が寄せられています。
Cure SMA 2025について
Cure SMAは、米国カリフォルニア州アナハイムで2025年6月25日から27日まで開催予定です。この国際会議では、SMAに関する最新の研究成果が発表され、治療の進展が共有されます。
Craifは2018年に設立された名古屋大学発のベンチャー企業であり、尿などの体液から病気関連の生体物質を高精度で検出する基盤技術「NANO IP®︎」を持っています。彼らはがんの早期発見や個別化医療の実現に向けた研究・開発に取り組んでいます。Craifの取り組みは、病気に対する見方を変え、早期診断を実現するための新たな道を切り開いていくことでしょう。
詳細な情報については、Craifの公式ウェブサイトをご覧ください。