旭川赤十字病院とAWS、生成AIで医療現場改革に挑む
オープングループ株式会社の子会社、オープン株式会社は、アマゾン ウェブ サービスジャパン合同会社(AWSジャパン)と協力し、旭川赤十字病院で生成AIを用いた音声データ認識による新たな試みを実施しています。これにより、インフォームド・コンセント(IC)とカンファレンスの議事録を自動生成し、医療業務の効率化を目指しています。
実証実験の背景
旭川赤十字病院は、以前からオープンの業務自動化ツール「BizRobo!」を活用し、業務の効率化に取り組んできました。しかし、新たな医師の働き方改革や地域の高齢化により、医療現場が直面している課題は深刻化しています。これに対処すべく、生成AIの導入を決定し、効率的な医療提供を実現しようとしています。
実証実験の詳細
実験は2025年3月から7月の間、旭川赤十字病院において実施されます。具体的な内容は以下の通りです:
1. ICとカンファレンスの音声データをBizRobo!が収集。
2. 音声データをAWSの「Amazon Transcribe」に送信し、文字起こしを行います。
3. 文字起こしされたデータを「Amazon Bedrock」を使って要約し、議事録を作成します。
4. 作成された議事録を実務担当者が確認し、品質をチェックします。
5. 問題点が発見された場合、AIのプロンプトやアルゴリズムを調整し、精度を向上させます。
このプロジェクトは、医療現場が直面するICとカンファレンスの記録にかかる負担を軽減し、業務改善への第一歩と位置づけられています。
期待される効果
実証実験では、以下の3つの指標で効果を測定します:
- - 医療安全の確保:電子カルテの情報が適切に引用され、文法も正しい形で議事録が生成されるか。
- - 業務削減:従来の手法と比較して、議事録作成にかかる時間をどの程度短縮できるか。
- - 働き方改革への寄与:スタッフの残業削減やタスクシフティングの向上がどの程度実現可能か。
実験の進捗と展望
実験開始直後の感触として、旭川赤十字病院では議事録作成にかかる時間を30~60%短縮できると感じています。今後は、RPAとAIの連携を進め、さらなる業務の効率化を図るとともに、地域の医療提供体制の安定化にも寄与することを目指します。
オープンによる従来のカスタマイズの実績を活かしつつ、生成AIの導入は、単なる自動化に留まらず、医療現場の意思決定を支援するエージェンティックなシステムへと進化させていく方針です。
オープンの取り組みが成功することで、今後の医療現場におけるAIの活用が一層進むことが期待されます。