高校生が描く新たな制服の価値とは?
株式会社チクマは、衣服の重要性を伝える「服育Ⓡ」の理念を広めるため、毎年全国の高校生から制服に関する標語を募集しています。この活動は、2010年に始まり、今年で16回目を迎えました。特に注目されるのが、最優秀賞に輝いた「制服は 私自身の 自己紹介」という標語です。この標語は、鎮西学院高等学校の一年生、舩口佳奈さんによるもので、彼女の思いが込められた一文です。
今年の標語募集には、全国から約2700点の応募があり、学生たちの心の中にある制服への思いやりや価値観が表れています。選考結果には、最優秀賞の他にも優秀賞が3点、九州服育研究会賞、東京服育研究会賞、佳作がそれぞれ発表され、受賞者のコメントも紹介されていて、学校生活における制服の役割を再考させられます。
制服の意味を再考
例えば、優秀賞を受賞したある中学生は、初めて鏡で見た自分の制服姿に胸が躍った感情を表現したいと語っています。制服を身に着けることがもたらす高揚感や、自分自身を紹介する一つの手段として捉えた姿勢が見受けられます。また、東京服育研究会賞を受賞した標語では、同じ制服を着ることで感じる仲間意識や一体感を強調し、まさに学校生活における「制服」の意義を如実に示しています。
このような取り組みを通じて、学生たちは日常的に着用する制服がどんな意味を持つのかを考える契機を得ているのです。服育のポスターは、単なる標語の発表にとどまらず、制服について考えるきっかけとして広く利用されています。
無料配布制度の活動
チクマでは、この服育ポスターを希望する学校に無償で配布しており、デザインや内容を通じて教育現場における服育の理解を深めています。興味のある学校は、専用の申し込みフォームを介して手続きを行うことができ、全国各地での服育活動の拡充に寄与しています。
未来へつながる制服文化
さらに、ポスターのデザインには、SNSで人気を博した「柄-1グランプリ」の2024年度の優勝柄が使用されており、視覚的にも魅力あふれる作品に仕上がっています。
服育の理念は、単に衣服を着ることへの意識だけを高めるものではありません。コミュニケーションやマナー、環境問題、国際性や文化理解を深めることを通じて、「生きる力」や「豊かな心」を育むことを目的としています。この理念は、2004年にチクマによって提唱され、今では教育界だけでなくファッションや環境関連の各業界にも広がりを見せています。
チクマの取り組みと環境への配慮
また、株式会社チクマは、繊維関連の長い歴史を持ちながら、環境問題にも真剣に取り組んでいます。1995年に環境推進室を立ち上げ、環境に優しいユニフォームの普及に努めてきました。例えば、使用済みのPETボトルを繊維にリサイクルしたユニフォームや、2014年からの官民協力によるリサイクルプロジェクトなど、多面的なアプローチで社会貢献を果たしています。
このようにして、チクマの「服育Ⓡ」プロジェクトは、制服を通じて学生たちに豊かなコミュニケーションや価値観を育むだけでなく、社会全体の環境意識を高めていく重要な取り組みとなっています。これからも、制服を身に着ける学生たちがそれぞれのストーリーとともに成長し、未来の社会をつくっていくことを期待しています。この活動がさらなる広がりを見せることを願っています。