オンライン栽培指導SaaSで持続可能な農業を実現するINGENの挑戦

株式会社INGENと持続可能な農業の未来

近年、持続可能な農業が注目される中、株式会社INGENが開発したオンライン栽培指導のSaaS『農の相棒Mr.カルテ』が脚光を浴びています。この新しいプラットフォームは、農業のデジタル化と技術継承を目指し、先駆的なサービスを提供することで日本の農業の将来を切り開こうとしています。

資金調達の背景

INGENは、持続可能な農業の推進に向けて総額5000万円の資金調達を実施しました。この資金は主に、栽培指導機能の強化やデータベースの更新、導入支援体制の拡充に使用される予定です。同社は、農業専門のSaaS企業として、独自の肥料などのデータベースを活用し、専門的な支援を提供しています。

農業の現状と課題

日本の農業界は、労働力不足や高齢化、食料自給率の低下など、さまざまな課題に直面しています。農業従事者の平均年齢が67歳となり、食料自給率が過去最低の37%に落ち込むなか、INGENの取り組みは新しい解決策となるかもしれません。代表取締役の櫻井杏子氏は、栽培指導は「畑の医療」と表現し、農業の専門知識を持つチームの重要性を強調しています。

Mr.カルテの機能と特徴

『農の相棒Mr.カルテ』とは、栽培指導・処方のオンラインプラットフォームであり、農業者が遠方からでも質の高い指導を受けられることを目指しています。特に、収穫から病害虫対策まで包括的にサポートすることで、農家と栽培指導者の連携を強化します。このサービスは、栽培指導者が作成したカルテを通じて、そのまま農家の日誌としても利用できるため、記録が残り技術習得が容易になります。農資材の使用タイミングや病害対策を、オンラインで精密に指導できる点も大きな魅力です。

技術継承とオンライン化

特に注目すべきは、INGENが注力する「超早期対策」の技術継承です。この技術は、病害虫の発生をいち早く察知し、適切な対応を可能にします。最近の市場動向では、バイオスティミュラントと呼ばれる資材が急成長しており、2014年の1400億円から2021年には2900億円に拡大する見込みです。これを背景に、INGENは新たなビジネスモデルを構築しています。